音楽療法のライブ日記

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未曾有の大地震が奪った「安らぎの音」

2011-03-14 18:15:03 | 研究関連
本来はリラックスできる安らぎの音として
渓流の音、風がそよぐ音、波の音、虫の声・・があると言われています。
一定音ではなく、予測がつかない変化のある非定常な音が
ホッとした気持ちを呼びおこしてくれていたことに想いを寄せました。

昨日、日本音楽療法学会近畿学術大会の研究発表がありました。
学術研究発表の座長の重責を担い、研究内容に関する
先行論文及び参考図書を読む日々が続いていました。
多くの発表内容は実際の臨床現場における事例研究になりますが、
最後の発表は「音」が生体に及ぼす影響を論じられました。

人類が心理的な安定に「音」を求めてきたことは
大よその感覚で誰もが感じてきたことだと思います。
人の可聴帯域の上限である20kHzを超える高周波成分を豊富に含む
非定常な音が、人の脳幹、視床、視床下部などを活性化し、生理的、
心理的反応を引き起こす研究が大橋力著『音と文明』に記されています。

その研究の音楽療法への応用研究として加藤雅裕さんが
「音・音楽の生体への影響に関する基礎研究」として発表されました。
この類の研究の多くは日本音響学会において継続されており、
今回の研究と融合しながら、多くのことが解明されることになります。

3日前に起きた未曾有の大地震は、人々の安らぎを奪ってしまいました。
精神的なケアがこれから長く求められることになります。
安らぎの音にゆったりと身を任せられる時が一日も早く訪れますように・・・。
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