音楽療法のライブ日記

音楽療法士がお届けする、日々の活動記録と情報発信のブログです。

グループホーム(認知症対応)の音楽療法♬

2021-12-26 07:22:54 | 音楽療法実践
多くのグループホームへお訪ねしてきましたが、大まかな傾向として
男性は演歌がお好きで、亭主関白的な雰囲気を醸し出されています。
物腰柔らかく、始めから交流がスムーズにいくことの方が珍しいです。

認知症を患って先月からグループホームへ入所されましたが、
男性としてはお一人です。
先月は殆ど目を閉じて(眠っている雰囲気で)奥に座られており、
お声かけをしてもその姿勢は揺らぐことはありませんでした。

2度目の今回は12月ということもあり、「歌の忘年会」としてプランニングしました
先月お答えしていただいたリクエストを含めて、大衆歌謡をメインとし、進行していくと、
始めは奥で新聞紙を広げて座られていたのですが、♪お座敷小唄で前を向かれ、
♪お富さんで口の動きが歌詞だと分かりました。
すると、自ら歩いて前に移動され、職員さんから驚きの声があがりました。
きっと懐かしい歌謡曲にご本人の居場所があったのでしょう。
職員さんの寄り添い方も強要するでもなく、接近し過ぎるでもなく、素晴らしかったです。
他の職員さんがスマホでその姿を撮られており、ご家族や他の職員さんと共有されることでしょう

最近の歌謡界ではいわゆる「カバー」される曲が増えています。
小田和正さんは「カバーをすることで、その曲を知らなかった人にも
聞いてもらえるし、違う人が歌うことで新しい発見もある。・・」と話されています。
戦前も含める昭和歌謡の時代には誰もが口ずさめる大衆音楽がありました。
共有する空間の「暖かさ」「優しさ」「楽しさ」は伝わりあえると感じています

来年には、個人のリクエストにお応えしていけたらと思います。
その人ならではのリクエストも人生に寄り添える大切なひと時です。
時には思い出話が弾んで職員さんが気を使われる事もありますが、
そんな時こそ「その人らしさ」の音楽との思い出を知り、心の距離が近くなります。

認知症を患っている人だけではなく、コロナ禍の今こそ懐かしい音楽、好きな音楽に
包まれる時間を大切にしたいものです