私はブルース・プレイヤーにもかかわらず、毎年クリスマス・シーズンは
出番が多い。
「~にもかかわらず」と書いたのは、ブルースほどクリスマスに縁遠い音楽
はないと実感しているからだ。
もちろん、ブルースはゴスペルソングと密接に結びついているから、
キリスト教的要素は非常に強いわけだが、ゴスペルソングが神を讃える歌で、
教会で歌われることが多い一方で、ブルースはもっと人々の生活に近いもので、
神を讃えるというより、自己の内面と対峙し、「良心の呵責」、「貧困」、
「うまくいかない男女関係」、「酒」…、などダークなイメージがつきまとう。
そう、クリスマスはブルースマンがいちばん落ち込む日だ(笑)。
ブルースの神様、ロバート・ジョンソンにしたって、十字路で悪魔と契約し、
名声を得るという伝説があるくらいで、うたっている歌も、
「今日がクリスマス・ディで明日が最後の審判の日ならば…」
などと、聴いているこちらも胸がしめつけられ、耳をふさぎたくなるような
「辛い」内容である。
それにもかかわらず、ライブハウスの出演依頼は意外と多い。
まあ、ライブハウスの人の気持ちを勘ぐってみると、要はクリスマスシーズンは
お客が遠のく(誰も好きこのんでライブを観に行かないわけだ!)し、
どうせお客がいないなら、というわけで、いわゆる「穴埋め的」な役割なのかも
知れないし、反骨精神もあって、あえてそういうプロモーションを行っている
のかも知れない。
いずれにせよ、出演するブルースマンは私を含めまんざらではない(笑)。
ここぞ!といわんばかりに、まばらなお客の前でいつもにもまして「暗い」歌をうたう(笑)。
ままよ、馬鹿な話をしている間に、なんという長い前ふりだ!
またCDを1枚紹介するぞ…。
『John Pizzarelli/Kisses In The Rain』
これは、私のCDコレクションの中でも、飛び切りお気に入りの一つだ。
ジョン・ピザレリの甘く切ない声、目が回ってしまうほどスウィンギーで
超絶テクニックのギター、バラードはこの上なくロマンティックで、
スウィング・ジャスはこの上なくハッピーだ。
ジョン・ピザレリの父はバッキー・ピザレリというスウィング・ジャズ・ギターの
名手であり、ベニー・グッドマン・バンドの晩年のレギュラーであった。
そういう父の影響もあり、彼はスウィング・ジャズを志す。
アルバムに収録されている「I Got Rhythm」はもちろん、ガーシュウィンの超有名曲、
最近ではスケートの浅田選手がショート・プログラムの音楽として採りあげていますね。
あの演技は音楽にあっていて、美しくて、かわいらしくて、最高だ。
真央ちゃん、よくこんな曲をセレクトしてくれたもんだ~!!
とまたもや、話が脱線してしまったが、ジョン・ピザレリはものすごく早いテンポで
しかもギター・ソロをやりながら、同じラインをスキャットするという、もはや
「人間技とは思えない」すごいことをやっている。迫真の演奏だ。
彼はフランク・シナトラの秘蔵っ子といわれている。
舞台の袖で、彼の歌を、演奏を、まるで孫をみるように微笑みながら観ていたそうだ。
唐突だが、クリスマスといえば「ホワイト・クリスマス」。
日本ではまるで年末の第九のように巷にこの歌があふれているが、どうも
こういうある種の習慣は日本だけらしい。
「ホワイト・クリスマス」といえばフランク・シナトラやビング・クロスビーの
歌が有名だ。
上記のアルバムでジョン・ピザレリが歌ってくれていたなら、それこそ
「どんピシャ」なのだが、そう現実はあまくない。
それでも、毎年クリスマスになるとこのアルバムを思い出すのは、
やはり、日本のクリスマスにはスウィング・ジャズがあっているから
かも知れない。
幸い今年の演奏はすべて終了している。くら~い、ブルースはそこそこにしておいて、
今日くらいは少しクリスマスの雰囲気を味わうことにしよう。
メリー・クリスマス!
2012年12月24日 クリスマスイヴに
翻訳会社オー・エム・ティの公式ウェブサイト
出番が多い。
「~にもかかわらず」と書いたのは、ブルースほどクリスマスに縁遠い音楽
はないと実感しているからだ。
もちろん、ブルースはゴスペルソングと密接に結びついているから、
キリスト教的要素は非常に強いわけだが、ゴスペルソングが神を讃える歌で、
教会で歌われることが多い一方で、ブルースはもっと人々の生活に近いもので、
神を讃えるというより、自己の内面と対峙し、「良心の呵責」、「貧困」、
「うまくいかない男女関係」、「酒」…、などダークなイメージがつきまとう。
そう、クリスマスはブルースマンがいちばん落ち込む日だ(笑)。
ブルースの神様、ロバート・ジョンソンにしたって、十字路で悪魔と契約し、
名声を得るという伝説があるくらいで、うたっている歌も、
「今日がクリスマス・ディで明日が最後の審判の日ならば…」
などと、聴いているこちらも胸がしめつけられ、耳をふさぎたくなるような
「辛い」内容である。
それにもかかわらず、ライブハウスの出演依頼は意外と多い。
まあ、ライブハウスの人の気持ちを勘ぐってみると、要はクリスマスシーズンは
お客が遠のく(誰も好きこのんでライブを観に行かないわけだ!)し、
どうせお客がいないなら、というわけで、いわゆる「穴埋め的」な役割なのかも
知れないし、反骨精神もあって、あえてそういうプロモーションを行っている
のかも知れない。
いずれにせよ、出演するブルースマンは私を含めまんざらではない(笑)。
ここぞ!といわんばかりに、まばらなお客の前でいつもにもまして「暗い」歌をうたう(笑)。
ままよ、馬鹿な話をしている間に、なんという長い前ふりだ!
またCDを1枚紹介するぞ…。
『John Pizzarelli/Kisses In The Rain』
これは、私のCDコレクションの中でも、飛び切りお気に入りの一つだ。
ジョン・ピザレリの甘く切ない声、目が回ってしまうほどスウィンギーで
超絶テクニックのギター、バラードはこの上なくロマンティックで、
スウィング・ジャスはこの上なくハッピーだ。
ジョン・ピザレリの父はバッキー・ピザレリというスウィング・ジャズ・ギターの
名手であり、ベニー・グッドマン・バンドの晩年のレギュラーであった。
そういう父の影響もあり、彼はスウィング・ジャズを志す。
アルバムに収録されている「I Got Rhythm」はもちろん、ガーシュウィンの超有名曲、
最近ではスケートの浅田選手がショート・プログラムの音楽として採りあげていますね。
あの演技は音楽にあっていて、美しくて、かわいらしくて、最高だ。
真央ちゃん、よくこんな曲をセレクトしてくれたもんだ~!!
とまたもや、話が脱線してしまったが、ジョン・ピザレリはものすごく早いテンポで
しかもギター・ソロをやりながら、同じラインをスキャットするという、もはや
「人間技とは思えない」すごいことをやっている。迫真の演奏だ。
彼はフランク・シナトラの秘蔵っ子といわれている。
舞台の袖で、彼の歌を、演奏を、まるで孫をみるように微笑みながら観ていたそうだ。
唐突だが、クリスマスといえば「ホワイト・クリスマス」。
日本ではまるで年末の第九のように巷にこの歌があふれているが、どうも
こういうある種の習慣は日本だけらしい。
「ホワイト・クリスマス」といえばフランク・シナトラやビング・クロスビーの
歌が有名だ。
上記のアルバムでジョン・ピザレリが歌ってくれていたなら、それこそ
「どんピシャ」なのだが、そう現実はあまくない。
それでも、毎年クリスマスになるとこのアルバムを思い出すのは、
やはり、日本のクリスマスにはスウィング・ジャズがあっているから
かも知れない。
幸い今年の演奏はすべて終了している。くら~い、ブルースはそこそこにしておいて、
今日くらいは少しクリスマスの雰囲気を味わうことにしよう。
メリー・クリスマス!
2012年12月24日 クリスマスイヴに
翻訳会社オー・エム・ティの公式ウェブサイト