沖縄のごみ問題を考える

一般廃棄物の適正な処理に対する国の施策と県の施策と市町村の施策を比較しながら「沖縄のごみ問題」を考えるブログです。

広域処理における1市2村のごみ処理計画を考える(まとめ)※追加資料(1市2村の考え方の違い)概要版

2016-05-16 07:59:28 | ごみ処理計画

この記事は、1市2村の考え方の違いに関する記事の概要版です。 

市町村のごみ処理計画に関する国の施策や県の計画等に詳しい人であれば、2村のごみ処理計画に対する考え方が地方公共団体の考え方ではなく民間の廃棄物処理業者(最終処分場を所有していない焼却処理業者)の考え方に限りなく近いことがすぐに分かるはずです。なぜなら、2村のごみ処理計画は、市町村のごみ処理計画に関する国の施策(既存施設に対する施策と最終処分に関する施策)や県の計画(溶融炉の整備と最終処分に関する計画)を無視している計画であり、国の補助金を利用する権利を放棄している計画だからです。

しかし、その2村の村長は沖縄県では国の施策や県の計画に最も協力的な市町村と思われる浦添市との広域処理を推進することを表明しています。普通に考えれば、浦添市が2村と広域処理を推進することはあり得ないことですが、その浦添市は2村との広域処理の推進に同意しています。

このブログの管理者は、平成27年度に1市2村が広域処理を推進するための協議会を設立することができなかったことで、90%以上の確率で広域処理は白紙撤回になると考えています。しかし、2村にはまだ10%くらいはチャンスが残っていると考えています。ただし、2村の村長(実際は職員)が中城村の村長の任期が満了する前に協議会を設立することができなかった場合は、そのチャンスは完全に消滅すると考えています。

なお、この概要版については、かなり説明を省略しているところがあるので、興味のある方は、1つ前の記事(本編)をご覧下さい。

【沖縄県における最終処分に関する課題】

【沖縄県における溶融炉に関する施策】

(注)都道府県の廃棄物処理計画は廃棄物処理法の規定により廃棄物処理法の基本方針に即して策定しなければならないことになっています。そして、沖縄県の廃棄物処理計画は、①溶融炉の整備を促進して、②最終処分場の延命化を図る計画になっています。

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【浦添市のごみ処理計画の位置づけ】

【北中城村(2村と中北組合)のごみ処理計画の位置づけ】

 (注)浦添市のごみ処理計画と北中城村(2村と中北組合)のごみ処理計画は、どちらも県の廃棄物処理計画を上位計画として策定(改正)されています。

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 【浦添市における最終処分に関する施策】

【北中城村(2村)における最終処分に関する施策】 

(注)1市2村はどちらも県の廃棄物処理計画を上位計画としてごみ処理計画を策定(改正)していますが、北中城村(2村と中北組合)のごみ処理計画は、県の計画を全く無視した計画(沖縄県の市町村が策定したごみ処理計画とは思えない計画)になっています。ちなみに、2村のごみ処理施設(青葉苑)の焼却炉は流動床炉なので、排出される焼却灰は飛灰だけになりますが、なぜか浦添市と同じストーカ炉のように焼却灰と飛灰が排出されることを前提にしてごみ処理計画を策定しています。しかも、最終処分場の整備に関することは一切考えていない計画になっています。

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(注)1市2村が広域処理を推進する場合は、廃棄物処理法第6条第3項の規定に基づいて、1市2村のごみ処理計画の調和を確保しなければならないことになっています。しかし、2村のごみ処理計画は1市2村が上位計画としている県の廃棄物処理計画を無視した計画になっているために、このままでは広域処理を推進することはできない状況になっています。

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(注)浦添市は国の施策や県の計画に適合するごみ処理計画を策定していますが、2村は国の施策や県の計画を無視しているだけでなく、地方財政法(第8条)に違反して事務処理を行っています。したがって、2村は溶融炉(所有財産)の適正な運用に関する法令違反を是正して廃棄物処理法第6条第3項及び地方財政法第2条第1項の規定に適合する施策を行うようにしなければ、広域処理を推進するための協議会を設立することができない状況になっています。

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(注)この施策は2村がこれまでの施策を変えないことにした場合になりますが、これでは2村との広域処理の推進に同意している浦添市に対して大変失礼な施策になります。したがって、2村が施策を変更しない場合は当然のこととして広域処理は白紙撤回になります。

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(注)この施策は2村がごみ処理計画を改正する前の施策に戻る施策であり、浦添市とまったく同じ施策を行うことになります。ただし、2村の溶融炉は塩分濃度の高い流動床炉の焼却灰(飛灰=ばいじん)を単独で処理する燃料式の溶融炉であり、国内では稼動している事例や長寿命化が行われている事例のない極めて特殊な溶融炉です。したがって、広域処理を前提にした場合は地方財政法第2条第1項の規定に違反する施策になるので、やはり広域処理は白紙撤回ということになります。

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(注)この施策は法令違反を是正するために溶融炉を廃止して、浦添市のごみ処理計画との調和を確保するために焼却灰の資源化を外部委託する施策になります。しかし、外部委託は委託先から契約を一方的に解除されるリスクがあり、浦添市の議会や住民に対する「担保」にはならないので広域処理を推進することはできないことになります。

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(注)2村が広域処理を推進しない場合は、上の2つの法令の規定は適用されないことになります。しかし、広域処理を推進する場合は絶対にクリアしなければならない規定になります。したがって、2村の施策に対する選択肢はこの施策しか残っていないことになります。ただし、2村の決断が遅れた場合や、代替措置を講じる時期が遅れた場合はタイムオーバーになるので、やはり広域処理は白紙撤回ということになります。

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(注)平成27年度までの2村は、上の画像にあるようにことごとく国の施策や県の計画を無視してきたので、広域処理を推進することを決断したのであれば、タイムオーバーを回避するために中城村の村長の任期が満了する前に法令違反を是正して協議会を設立する必要があると考えます。

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(注)2村が2年前にごみ処理計画を改正するときに、国の施策や県の計画に対応して代替措置を講じて溶融炉を廃止していれば、平成27年度に協議会を設立することができたことになります。しかし、2村は平成27年度まで国の施策や県の計画を無視し続けてきました。このため、広域処理に対するハードルを自ら高くしてしまったことになります。

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(注)これは、溶融炉を廃止するための代替措置に関する国の施策や県の計画との関係を整理した資料ですが、代替措置に対しては廃棄物処理法が適用されないことは、このブログの管理者が環境省に対して直接文書で確認しています。ただし、廃棄物処理法の基本方針に適合していない場合(焼却灰の民間委託処分を行う場合等)は、環境基本法や循環基本法の規定に適合していても、新たにごみ処理施設を整備する場合は国の補助金を利用することはできないことになります。なお、代替措置については、この2つの基本法の規定以外には国や県が関与するための根拠法はないので、代替措置がこの規定に適合している場合は国や県の関与は受けないことになります。

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(注)2村は国の施策や県の計画を無視することで国の補助金を利用する権利を放棄しています。そして、溶融炉を休止していることで地方財政法に違反する事務処理を行っています。ただし、溶融炉を廃止(地方公共団体の所有財産から除外)すれば法令に違反しない事務処理を行っていることになります。しかし、この考え方は地方公共団体ではなく民間の廃棄物処理業者の考え方(発想)になります。ちなみに、2村が民間の廃棄物処理業者である場合は、地方財政法は適用されないので、溶融炉(民間企業の所有財産)を休止していても法令違反にはなりません。

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 (注)平成27年度までの2村は民間の廃棄物処理業者とほぼ同じ考え方(発想)で事務処理を行ってきました。昨年の12月に浦添市がマスコミ発表した広域施設の整備に関する基本的な計画の策定も、状況から判断して2村が浦添市に策定を委託したものと思われます。したがって、2村がこれまでの考え方を改めなければ、既存施設に対する施策の決定やその他の事務処理についても、浦添市に委託する可能性は十分にあると考えています。そして、2村は分担金を負担するだけで、広域施設が完成するまでの間、焼却炉の長寿命化も中止して溶融炉を休止したまま焼却灰の民間委託処分を続けて行くことを考えている可能性もあると思っています。

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(注)中城村の村長の任期が満了する前に2村が法令違反の是正と既存施設に対する施策を決定して協議会を設立することができなかった場合は、平成27年度までの考え方を改める意思がない(平成28年度以降も民間の廃棄物処理業者と同じ考え方で事務処理を行っていく)ことになるので、浦添市としては広域処理を白紙撤回して単独更新に関する事務処理に着手することになると考えています。なぜなら、浦添市には他の自治体である2村の考え方を変える権限はないからです。

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【概要版追加資料】

下の画像は、概要版のために作成した資料です。

2村は平成26年3月に県の廃棄物処理計画を上位計画としてごみ処理計画を改正しています。しかし、県の廃棄物処理計画は廃棄物処理法の規定(第5条の5第1項)により国の施策(廃棄物処理法の基本方針)に即して策定されています。したがって、2村が改正したごみ処理計画は県の計画を無視しているだけでなく国の施策も無視していることになります。

(注)2村が改正した実際のごみ処理計画は、平成26年4月に中北組合を民間企業に組織変更して、一般廃棄物処理業者(焼却処理)として登録した形になります。こうすれば、地方財政法第8条の規定は適用されなくなるので、溶融炉(所有財産)を休止しても、法令違反にはならないことになります。そして、廃棄物処理法の委託基準を遵守すれば最終処分場の整備を行わずに焼却灰の委託処分を継続することができます。ただし、中北組合は2村が設立した地方公共団体なので、このような事務処理(法令に違反している事務処理)は地方自治法の規定に基づいて無効になります。

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下の画像も、概要版のために作成した資料です。

2村は正真正銘の地方公共団体です。そして、2村が設立した中北組合も正真正銘の地方公共団体です。したがって、地方公共団体が法令に違反して事務処理を行っている(溶融炉を休止している)場合は地方自治法の規定(第2条第17項)に基づいて無効になります。

また、2村が国の補助金を利用してごみ処理施設の整備(長寿命化、更新、新設等)を行う場合は、2村のごみ処理計画が廃棄物処理法の基本方針に適合していなければなりません。

(注)このように、2村が民間の廃棄物処理業者と同じ発想で廃棄物処理法の基本方針を無視している限り、地方財政法の規定に違反している場合であっても、違反を是正するために溶融炉を廃止した場合であっても、国の補助金を利用する権利を放棄していることになります。したがって、広域処理を推進することは不可能な状況になります。つまり、2村が平成28年度においても廃棄物処理法の基本方針を無視し続ける行為は地方公共団体における自殺行為になります。

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下の画像も、概要版のために作成した資料です。

2村が考え方を改めるとしても、2年前にごみ処理計画を改正した責任者である中城村の村長の任期が満了するまでに協議会を設立しなければ、国の施策や県の計画に従って既に溶融炉の長寿命化を実施している浦添市に対して失礼になるだけでなく、タイムオーバーになってしまいます。

浦添市は平成27年度に協議会を設立する予定でいました。しかし、2村の村長が2年前にごみ処理計画を改正したことによって協議会を設立することはできませんでした。その村長が、①法令違反は是正しない、②国の施策は無視する、③県の計画も無視するという考え方のまま任期を満了した場合は、広域処理を推進するという施政方針も無視することになってしまいます。

(注)2村が広域処理を推進するためには休止している溶融炉を廃止して法令違反を是正することが絶対条件になりますが、廃棄物処理法の基本方針に適合する代替措置を自主的に講じて溶融炉を廃止しなければ国の補助金を利用する権利を確保することはできないことになります。したがって、2村の村長(実際は職員)が民間の廃棄物処理業者と同じ発想のままでは、いつまで経っても広域処理を推進するための協議会を設立することはできないことになります。

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【2村(中北組合を含む)の職員の皆さんへのメッセージ】 

地方自治法の規定に基づいて2村の住民の福祉の増進を図るためのラストチャンスになるので、民間の廃棄物処理業者と同じ考え方(発想)では他の市町村(浦添市)との広域処理を推進することはできないことを確認して、中城村の村長の任期が満了する前に法令違反を是正して、2村の村長の施政方針に従って浦添市との広域処理を推進するための協議会を設立して下さい。 

【浦添市の職員の皆さんへのメッセージ】 

地方自治法の規定に基づいて浦添市の住民の福祉の増進を図るために、中城村の村長の任期が満了する前に、2村との広域処理を推進するための協議会を設立することができなかった場合は、2村の村長に広域処理を推進する意思があっても、村長の補助機関である職員には広域処理を推進する意思や法令違反を是正する意思がない(平成28年度以降も民間の廃棄物処理業者と同じ発想で事務処理を行っていく)ことになるので、広域処理を白紙撤回して単独更新に関する事務処理に着手して下さい。  

広域処理の成功を祈ります。