沖縄のごみ問題を考える

一般廃棄物の適正な処理に対する国の施策と県の施策と市町村の施策を比較しながら「沖縄のごみ問題」を考えるブログです。

広域処理における1市2村のごみ処理計画を考える(まとめ)※追加資料(スケジュール)結論

2016-04-12 09:28:45 | ごみ処理計画

少し長くなりますが、今日は広域処理のスケジュールに関する、このブログの管理者が考えている「結論」を書きます。

その前に、まず、下の画像(3つ)をご覧下さい。

これは、「その1」から「その3」までの記事を整理した正誤表になります。①地方自治法の自治事務や法定受託事務に関すること、②廃棄処理法の基本方針や廃棄物処理施設整備計画、地方財政法等の関係法令に関すること、③広域処理における事前協議や協議会に関することについて良く知らない読者の皆さんの中には左側の誤りに気が付かない可能性があるので、「結論」を読む前に修正をしておいて下さい。

なお、記事は長くなりますが、この最初の3枚の画像によって誤りを100%修正できた人は、この記事の最後の画像を見ていただければ、短時間で「結論」が分かるようになっています。

原寸大の資料(画像をクリック)

(注)この正誤表で重要なのは真ん中の補助金に関する事項です。読者の皆さんの中には国には市町村に対して財政的援助を与える権利があるように思っている人がいる知れません。しかし、それは間違いです。国にあるのは市町村に対して財政的援助を与える義務であって権利ではありません。そして、市町村には国から財政的援助を受ける権利があります。ただし、市町村には国の財政的援助を受けるときと受けてから、法令や国の政策等に従って適正な事務処理を行う義務があります。

原寸大の資料(画像をクリック)

(注)溶融炉や焼却炉の処分制限期間を経過している場合は、休止や廃止をしている場合や長寿命化を行っていない場合であっても、財産処分の承認基準に適合していれば補助金を返還する必要はありません。しかし、それは補助金を利用した後の財産処分に関するルールであって、補助金利用に関するルールではありません。 

原寸大の資料(画像をクリック)

  

(注)この正誤表で重要なのは一番上と一番下です。今年度は協議会を設立する年度になりますが、その時期が遅れると、そのまま広域処理のスケジュールも遅れることになります。ただし、事前協議において一番問題になる広域施設を整備する場所は既に決定している訳ですから、後は広域組合に対する既存施設の引き継ぎに関する施策を決定すれば協議会を設立できる状況になっていると考えます。

ということで、これから「結論」を書きます。 

中北組合(中城村・北中城村)が平成28年度に広域処理に関する協議会を設立することを決定したことは、平成28年度が策定期限になっているインフラ長寿命化基本計画に基づく「行動計画」は既に決定していることになります。

そして、①焼却炉の長寿命化と、②溶融炉の廃止が決定していることになります。

なぜなら、1市2村による広域処理を成功させることを考えた場合、中北組合(中城村・北中城村)にとっては、①と②以外には選択肢がないからです。

下の画像は「その1」の記事の最後にアップした資料ですが、今日は、この資料のうち、平成28年度と平成29年度に的を絞って「結論」を書くことにします

原寸大の資料(画像をクリック)

このスケジュールは平成33年度に広域施設の建設工事に着手する前提になっています。浦添市は平成24年度に長寿命化を実施しているので平成33年度は丁度10年目に当ります。したがって、一般的に考えると、このスケジュールはギリギリのスケジュールになります。

このため、逆算して考えると、平成29年度には広域組合を設立するための地域計画の策定に着手する必要があります。

また、中北組合としては、既に休止している溶融炉を廃止して焼却炉の長寿命化を行うことが決定していることになります。しかも、中北組合の焼却炉は既に長寿命化を行う時期を迎えているので、国の補助金を利用して実施するために早急に長寿命化に関する実施計画と地域計画を策定する必要があります。

しかし、そのためには、溶融炉を廃止するための代替措置に関する具体的な方法を早急に決定して、遅くとも平成29年度には実際に代替措置を講じておかなればなりません。

ここで、参考資料として下の画像をご覧下さい。

これは、中北組合が焼却炉の長寿命化を先送りした場合のスケジュールになります。

原寸大の資料(画像をクリック)

このように、中北組合が広域組合を設立する前に焼却炉の長寿命化を完了していない場合は、結果的に広域組合において長寿命化を行うことになっていまします。

そうなると、当然のこととして1市2村の首長が設立した協議会において実施計画と地域計画を策定することになります。しかし、どんなに早くても焼却炉の長寿命化は平成31年度に実施することになります。

その場合、2年後に広域施設の建設に着手する地域計画を策定することになるので、国や県に原案を提出した時点でほぼ間違いなく修正を求められることになります。

どのような修正を求められるか?

広域施設の建設に着手する年度を平成34年度以降に遅らせることを求められることになります。

その場合は、どういうことになるか?

下の画像をご覧下さい。

このブログの管理者は、浦添市の方から広域処理を「白紙撤回」して、「単独更新」に切り替えることになると考えます。

なぜなら、下の画像にあるように、広域処理のスケジュールが遅れると浦添市の場合は、①平成24年度に長寿命化を実施した焼却炉と溶融炉の老朽化が進行するからです。そして、②浦添市には北組合のためにスケジュールを遅らせる理由がないからです。


原寸大の資料(画像をクリック)

一方、中北組合は焼却炉の長寿命化を先送りすることで、結果的に他の市町村である浦添市の財政に累を及ぼすような施策を行うことになる(地方財政法第2条第1項の規定に抵触することになる)ので、国や県から自治事務に対する是正の要求や是正の勧告を受けることになります。

このように、中北組合が浦添市との広域処理を成功させたいと考えている場合は、浦添市のスケジュールを尊重した施策を行う必要があります。

では、中北組合が何の施策も講じないまま協議会を設立しても浦添市との広域処理が成功するとした場合はどうなるか?

下の画像をご覧下さい。

実は、中北組合や1市2村の職員が補助金適正化法のこと(設備の処分制限期間)だけを考えて広域処理に関する事前協議を行っていると、こんな結果になります。

しかし、仮にこのような事務処理によって広域処理が成功した場合は、その前に日本のごみ処理制度は崩壊することになります。

なぜなら、①廃棄物処理法の基本方針や廃棄物処理施設整備計画、県の廃棄物処理計画が無意味な計画になり、②市町村のごみ処理計画に対して廃棄物処理法の規定(第6条第3項)や地方財政法の規定(第2条第1項及び第8項)が適用されないことになるからです。 


原寸大の資料(画像をクリック) 

 

いずれにしても、中北組合と1市2村の職員が事前協議においてこのようなスケジュールを決定して、首長が協議会を設立した場合は、首長に大きな恥をかかせることになります。

また、行政に対する議会や住民の信頼性が大きく損なわれることになります。

ということで、もう一度最初の資料をご覧下さい。

原寸大の資料(画像をクリック)

このように、平成29年度は中北組合において、①溶融炉を廃止するための代替措置を講じる年度、そして、②補助金を利用して焼却炉の長寿命化を行うための実施計画と地域計画を策定する年度になります。

したがって、平成28年度溶融炉を廃止するための代替措置に関する具体的な方法を決定して協議会を設立する年度になります。

 

下の画像をご覧下さい。

これは、備忘炉録にアップしている、このブログの管理者が中北組合(中城村・北中城村)のごみ処理計画に注目してブログを書いている理由を整理した資料です。

 原寸大の資料(画像をクリック)

上の画像のうち、7以外は全て現実の事柄です。9についても1や8のことを考えれば現実の事柄だと考えています。

したがって、事前協議において中北組合が溶融炉を廃止するための代替措置に関する具体的な方法を決定することができなかった場合は、結果的に7も現実の事柄になってしまいます。

上の画像の10にあるように、平成28年度は代替措置を講じずに溶融炉の休止(実質的には廃止)を決めた2村の村長の任期が満了するので、平成29年度においては2村の村長が代っている可能性もあります。

仮に、村長が代わって7が現実の事柄になった場合は、溶融炉の休止を決めた責任者が不在という状況になるので、2村のごみ処理計画と財政状況はより悲惨な状況になると考えています。

 

下の画像は平成28年度において広域処理が「白紙撤回」になった場合の中城村と北中城村における平成29年度以降の悲惨な状況を整理した資料です。


原寸大の資料(画像をクリック)

このブログの管理者の予想では、広域処理が「白紙撤回」になった場合は、中城村と北中城村は中北組合を解散して、それぞれが自主財源により自村に新たなごみ処理施設を整備する状況に追い込まれると考えています。

ちなみに、上の画像の40億円(自主財源)は、広域処理が成功した場合に広域施設を整備するための中城村と北中城村の負担金(補助金を含む)を想定した金額です。したがって、実際に広域処理が「白紙撤回」になった場合の金額(基金)は、スケールメリットがなくなり、逆にスケールデメリットが増えるので50億円以上になると思われます。

なお、この場合、中北組合と2村の職員は、平成29年度からは広域処理に関する事務処理ではなく、中北組合の解散及び新たな施設の整備に関する事務処理に着手することになります。そして、新たな施設の整備が完了するまで自主財源により既存の焼却炉の老朽化対策を行っていくことになります。

そうなると、住民だけでなく職員も悲惨な状況になると考えています。

ちなみに、広域処理が成功した場合は、沖縄県の市町村であれば50%程度の国の補助金を利用することができます。また、地域社会における必須施設であるごみ処理施設の整備に当って国の補助金を利用することができる場合は、残りの40%程度も地方債を発行することができます。したがって、実質的な自主財源は10%程度、つまり4億円程度(広域処理が「白紙撤回」になった場合の10分の1)になります。しかも、ごみ処理計画に関する職員の事務処理は100分の1以下に軽減されると思われます。

 ◆

最後に下の画像をご覧下さい。

これが、広域処理に関するスケジュールの「結論」になります。

原寸大の資料(画像をクリック)

上の画像にあるように、中北組合にとって、浦添市との広域処理が成功するか失敗するかは、溶融炉を廃止するかしないかにかかっています。 

そして、広域処理を成功させるためには、まず、平成28年度における事前協議において、①広域組合を設立する前に代替措置を講じて溶融炉を廃止すると、②協議会を設立する前に代替措置に対する具体的な方法を決定すること、そして、③平成29年度に代替措置を講じることが必須条件になると考えます。

なお、このブログの管理者は平成26年3月に代替措置を講じずに溶融炉の休止(実質的には廃止)を決定してごみ処理計画を改正した2村の村長の任期を考えた場合、少なくとも中北組合のごみ処理施設(青葉苑)のある中城村の村長の任期が満了する1ヶ月前(5月下旬)には、代替措置に対する具体的な方法を決定して、協議会を設立する必要があると考えます。

以上が、このブログの管理者が考えている広域処理のスケジュールに関する「結論」です。

(注)浦添市の場合は広域処理が「白紙撤回」になっても、浦添市が考えているスケジュールに従って国の補助金を利用して「単独更新」ができるので、大勢に影響はありません。

※北中城村の場合は平成28年度において多目的アリーナの建設(建設費約36億円)に着手する計画があるので、広域処理が「白紙撤回」になった場合は、ごみ処理計画に対する住民の負担を軽減するために多目的アリーナの建設計画も「白紙撤回」になると予想しています。なぜなら、代替措置を講じずに溶融炉の休止(実質上は廃止)を決定した村長と多目的アリーナの建設を推進している村長は同じ村長であり、村民にとっては多目的アリーナの建設よりもごみ処理施設の建設の方が優先度が高いからです。

広域処理の成功を祈ります。