ねがいのいえ理事長 藤本真二のブログ

障害を持つ方たちに寄り添い支援する日々の中で感じたこと、そのほか伝えたい話題などを、思いのまま日記風に綴ります。

みなさまの困りごと

2008-10-30 01:45:59 | Weblog
 先週のヒアリング会に続き、今日は養護学校の親御さんたちが作っている会に招かれ、みなさまの困りごとや要望をお聞きしに行きました。

 20年前この世界にはいり、なんと大変な世の中なんだろう、自分は障害を持つ人たちの暮らしを支援していきたいと考えた頃と、あまり変わっていない状況を改めて感じました。

 ご主人が夜勤の晩に、ご自分の持病が発症し救急車を呼んだお母さんは、お子さんが障害児で家に残すわけにいかないから、一緒に救急車に乗って見守って欲しいとお願いしたところ、あっさりと断られ、お子さんをひとり残すわけにいかなかったそのかたは、救急車に乗ることをあきらめ、翌朝まで痛みに耐えるしかなかったそうです。

 またあるかたは、第2子の出産を迎えたその日に、なんとご主人が病気で倒れてしまい、障害の子を誰かに託さなければ自分の出産入院ができないという緊急の事態に直面し、友人知人、あらゆるつてを頼んで、なんとかその局面を乗り越えたそうです。

 何日も前から予定したとしても、車で2時間はなれた遠くのショートステイに行くしかないさいたま市の状況で、ましてや緊急の事態に対応してくれるシステムが何もない政策の貧しさが、市民の暮らしをこんなにも苦しめています。

 世の中は自立支援協議会を発足させて、地域の支援センターが困りごとに対応するといっていますが、現実には、そんなにたくさんの支援センターがあっても、肝心の実際支援をするサービスがない状況で、相談に行っても、重度の人をみてくれるところがありません、自閉症の人はみれません、医療的ケアがある人はできません、と言われて、なにも支援を受けられずに終わっているそうです。だとしたら、支援センターに投入される予算は意味があるのでしょうか。それよりも、実際支援をする事業所に投資し、24時間緊急に対応してくれる場所を整備するほうがよほど有効なお金の使い方ではないでしょうか。

 このようなお話をヒアリングしていけば、何が求められているのか、何が必要とされているのか、おのずとわかってしかるべきはずなのに、障害福祉計画に一切あがってこないというのは、行政の担当者は一体何を見ているのでしょうか?

 ねがいのいえの利用者のみなさまには、困ったときには夜中でも連絡してくださいと伝えています。何のうしろだてもない小さな団体がどれだけできるかはわからないけど、できるだけのことはしますと伝えたとき、涙を流して、「そんなことを言ってもらったのは初めてです」と言われます。

 困っているみなさんが言って欲しいのは、「なんとかします」の一言なのだということを、われわれは知っています。

 夜、社協でがんばっている20年来の友人と話をしました。とてもいい話ができましたが、長くなるのでまた明日報告します。