大賀ハスのふるさとの会

東京大学からハス見本園の管理を引き継ぎ、観蓮会の開催・ ハス文化の継承と普及を行うため組織されたボランティア団体です

7月29日 見本園の開花状況2 妙蓮

2017-08-07 21:43:00 | ハス

開花状況報告の第2部は、見本園の蓮のなかでも、とくに珍しい妙蓮(みょうれん)をご紹介します。


妙蓮のマス全体はこんな感じです。

妙蓮は、その名のとおり、妙な蓮です。第一に、その花弁数が300~6000枚! 蓮の花弁の数は、25枚以下を一重、50枚以上を八重としていますので、その凄さが分かります。

蕾を見ても、すでに多くの花弁が重なり合っているので分かります。蕾のときは、通常の八重咲種と同じで、一つの茎に一つの花がついている状態です。

ところが、どんどん大きくなって外の花弁が落ちると、今度は同じ茎から新しい丸い花が2つ、3つ、4つと現れてきます。時には12もの花がひとつの茎からひしめき合って咲くそうです! え? ひとつの花から複数の花へ? 

渡辺達三著『魅惑の花蓮』(190ページ)では、妙蓮が次のように解説されています:

「花托が分岐し、それぞれの花托に花弁をつけるため、複数の花をつけているようにみえます。花弁は多いものでは数千枚に達します。雄ずいはありません。花つきは少ない。」

*雄ずい(ゆうずい)とは、雄しべのことです。

上と下の写真では、すでに外側の花弁が落ちて、なかで複数の花がつきはじめています。花弁に条線はほとんど見られません。他の蓮の花びらより薄いのか、羽毛のようにふわふわしています。

その花弁の多さから、他の蓮のような満開の状態にはならない、というか、なれないようです。下の写真は、会員O氏が2011年8月2日に撮影したものです。O氏にいろいろと妙蓮について教わりました。

前述のとおり、雄ずいがないので、蓮の実はできません。妙蓮の第二の特性は、繁殖は蓮根によってのみ行われることです。ひたすら純血を保つ蓮なのですね! だから花つきが少ないのでしょうか。あとでできた小型の丸い群花たちは散ることがなく、そのまま乾燥花になります。この時期、雨に濡れると黒ずんできます。

妙蓮のマスには、果托がなく、花たちがゆっくりと枯れていきます。妙蓮は、花弁が多く重いので、支えがないと下を向いたままの花も。

下の枯れた妙蓮は、花が三つ以上あります。

さらに上記の『魅惑の花蓮』(190ページ)によれば、妙蓮はその歴史も妙だったようです――

「滋賀県守山市の田中家は1406年頃より本種を保存していましたが、一時たえ、同所から分根したとみられる金沢市持明院のものを1963年に植えています。金沢市持明院、守山市大日堂の妙蓮は、それぞれ、国、県の天然記念物に指定されています。」



(担当: れい)

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7月29日 見本園の開花状況1

2017-08-07 16:12:35 | ハス

2017年7月29日の見本園の開花状況をご報告します。観蓮会のあとも、多くの蓮たちが競うように次々と咲いています。

まずは、白千葉(はくせんよう)から。

白千葉は、小型種です。花径では、直径26センチ以上が大型、それより小さく12センチ以上のものが普通型、それより小さいものが小型とされています。

下の玄武湖紅蓮(げんぶここうれん)も元気に咲いていました。

天高雲淡は、写真4枚でご紹介します。まずは蕾から。

天高雲淡は、白の花びらの端にわずかに紅がかかる爪紅(つまべに)蓮のひとつです。うっすらと淡いピンクが花びらの先端に。

花が開くと、先端のピンクも少し濃くなっています。

と思いきや、下の写真の天高雲淡は花弁の縁にほとんど紅色が見られません。開花四日目には退色し、散っていきます。

下の写真の紅領巾は、いっぱい咲いています。

次は、西施殿です。

西施殿の二枚目です。葉の状態はばらばらですが、写真の下の方にまだ蕾がふたつあります。

次は、蜀紅蓮(しょくこうれん)です。花弁数20枚、花径20-22センチ前後の中型種です。

寿星桃(じゅせいとう)のつぼみです。縦に走るピンクの条線がかわいい!

下の写真は、翠薇夕照(すいびゆうしょう)です。左にはシオカラトンボが。

紅重台蓮です。ライオンの兄弟のように並んで咲いてました。


百花繚乱の見本園のなかで、ひっそりとしたマスもあります。

チェンマイです。マスの右端で、立葉まで成長しています。去年は、遅咲きだったので、これからも観察します。

バージニアです。残念ながら、浮葉もありません。

中国古代蓮です。マスの左奥に浮葉が数枚でています。

報告はつづきます。

(担当: れい)

 

 

 

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