大賀ハスのふるさとの会

東京大学からハス見本園の管理を引き継ぎ、観蓮会の開催・ ハス文化の継承と普及を行うため組織されたボランティア団体です

2020年7月19日 蓮の見本園の一般開放4日目の報告②

2020-07-20 13:19:49 | 日記
蓮の見本園の一般開放4日目は梅雨空の下で行われました。
雨の中、開園と同時に駆けつけたツワモノの来場者たちがいました。その中の一人、S氏が撮った知里の曙の写真です。使用カメラはニコンです。

見本園のスターは、この一輪の知里の曙でした。下の写真もS氏撮影です。ご提供ありがとうございました。
今年の千葉県の梅雨はなかなか明けず、蓮の生育が例年より遅れています。日照不足に負けずに咲いていた蓮たちの報告がつづきます。まずは碧台蓮です。

碧台蓮は白重台蓮、白碧台蓮、重台蓮とも呼ばれます。花弁数100〜120枚の白の八重咲種です。花径は20cm前後と中型。花色はやや緑色がかっていて、花弁はやや厚い感じです。花期は7月下旬から9月上旬までですが、長梅雨にもかかわらず、今年は早くから咲いています。
品があってスッキリとした和蓮です。尋常の蓮とも呼ばれます。この品種は、地バス系統で、日本に広く分布する在来種です。比較的寒いところでも育ち、青森県の津軽地方では数百年前から栽培されていたようです。
次は天上蓮(てんじょうれん)です。花托から種が飛び出てきそうに見えますが、雌蕊(しずい)が突出した異形雌蕊の一例で、この品種では珍しくありません。このように変異した花托から種はできません。
背が高く、迫力の大輪を咲かせる陽山紅蓮です。色が鮮やかです。

清月蓮です。花つきの良い品種で、花弁の先端がやや尖っているのが特徴です。外側の花弁が帯緑色で、例年人気があります。
紅孔雀です。ちょっと雨でうなだれていましたが、つぼみがあるので、来週の開放日にはまだ咲いているかもしれません。
貴婦人のような廬山白蓮です。

錦蘂蓮(きんずいれん)です。花弁数100〜120枚。花径18〜20cmの中型の八重咲種です。花弁の幅が広く、コンパクトながら豪勢な品種です。
下の写真は大酒錦です。花弁の縁だけ薄緑色、その他は紅色が斑らに入った珍しい品種です

今日もカスピカムが咲いていました。カスピ海に注ぐヴォルガ・デルタに群生するカスピカムの開花はとても幻想的だそうです。

中国系の蓮をご紹介します。青菱紅蓮です。
世界で一番多くの蓮の品種を作り上げたのが中国です。中国全土でこぞって新しい品種を作っているとか。天高雲淡です。
寿星桃です。
つぼみの剣舞蓮です。素敵な花を咲かせる品種なので、次の7月25〜26日の開放日には咲いていますように。

ご来場いただきました近隣の皆様、誠にありがとうございました! 蓮たちも喜んでいることでしょう。

7月中旬以降も多くの蓮たちが咲き、散っていきます。百花繚乱の蓮たちを見ることができる見本園の開放日は、残り2日間です。詳細はこちら
最後に。
見本園のすぐ近くに大賀ハスの発祥の地があります。東大総合運動場と元・東大緑地植物実験所の間の道路脇にハス池があります。そこではまだ大賀ハスが咲いています。ぜひ立ち寄ってみてくださいませ。

報告は以上です。

(担当: れい)
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2020年7月19日 蓮の見本園の一般開放 4日目の報告①

2020-07-20 13:17:29 | 日記
7月19日の午前7時、気温23度、雨時々曇りの中で蓮の見本園の一般開放2020が始まりました。今日は4日目です。
受付のテーブルには、今朝の見本園で咲いていた淀姫の一輪挿しを置きました。数に限りがありますが、喜上眉梢(きじょうびしょう)という小型の蓮の販売を行っています。
開園と同時に訪れた来場者たちは、時おり強くなる雨をしのぎながら滴したたる蓮たちを眺めていました。一般開放4日目の見本園で咲く蓮のごく一部をご紹介します! 下の写真は、巨椋池大黒です。

同じ巨椋系の巨椋池大島です。
つづいて妖艶な一点紅です。
曇りの日は、瑞光蓮がよけいに儚げに見えます。花弁の先端がピンク色です。
巨椋系の品種、東観世です。

雨にうたれた蜀紅蓮。紅色がとても濃い品種です。

ちょうど東屋で「ハス守りさん養成講座」が行われていました。ハス守りさんとは、大賀蓮に関する知識や栽培方法を習得し、大賀蓮の名所や栽培地における学習・栽培・ガイド・イベント等のボランティアとして活躍する人材です。

今日のハス守りさんたちの講師は、大賀ハスのふるさとの会の顧問でもある南定雄先生でした! 南先生の楽しいお話には、居合わせた来場者も思わず耳を傾けていました。

下の写真は、ミセス・スローカムです。アジアの紅蓮とアメリカの黄蓮を掛け合わせてできた華やかな品種です。
次は、桃白条のつぼみです。ぷっくりとしていて、名のごとく甘い桃のようですね。
廬山白蓮です。輝いていました。
散った誠蓮です。雨に打たれて一気に花弁が落ちていました。お盆の蓮の花はほとんどこの品種を使っています。
同じ誠蓮の背の高いつぼみです。
下の写真は、大賀蓮のつぼみです。咲くのが楽しみです!
見本園には、千葉県の天然記念物に指定された大賀蓮があります。ここの大賀蓮がいま全国、全世界で栽培されている大賀蓮の元になります。


見本園の一般開放4日目の報告がつづきます。

(担当: れい)
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2020年7月11日 蓮の見本園の一般開放 初日の報告 2

2020-07-12 18:24:20 | 日記
2020年7月11日の蓮の見本園は、早朝の7時から近隣の皆様に開放されました。

会場では暗い椿のトンネルを抜けると、急に視界がひらけて、見本園の蓮たちが迎えてくれます。入口の「ハス品種見本園」の常設パネルには、長文ですが、以下のように記してありますーー
「ハスはハス科 Nelumbo naceae に属する大型の抽水植物(水面から抜き出る植物)で、大輪にして花容が優美な数ある鑑賞植物の中でも際だっています。
 植物上、ハスには、熱帯および温帯東アジア・オーストラリア北部原産のものと、北米東部・南米北部原産のものとがあります。前者の花色は紅・白色で通常[ハス] Nelumbo nucifera Gaertn. と呼ばれ、後者のそれは黄色で[黄花バス] Nelumbo lutea Pers. と称されています。2種の蓮は生物的にもよく似ていて、交雑可能なものも少なくありません。戦後には[黄花バス]やその交雑種鑑賞用花バスの仲間に加わりその賑わいを増しています。
 鑑賞上、ハスは花色、花弁数、花径などで分類されます。花色では、[ハス]の花弁全体が白または紅の「白蓮」「紅連」と、紅が花弁の先端にある「爪紅蓮」(つまべにバス)、斑らにある「斑蓮」(まだらバス)、[黄花バス]の全体が黄色の「黄蓮」(きバス)、[交雑種]の全体が白で花弁基部の黄色の「黄白蓮」(おうはくれん)、紅と黄とのまじわりあった「黄紅蓮」(おうこうれん)などがあります。花弁数では25枚以下を「一重」、50枚以上を「八重」、その間のものを「半八重」または「八重」と呼んでいます。
 花径では直径26cm以上のものを「大型」、それより小さく12cm以上のものを「普通型」、12cmより小さいものを「小型」としています。
東京大学農学部附属緑地植物実験所」

この入り口のパネルを読めば、見本園の蓮たちの基礎知識はバッチリです。

では、初日に皆様をお迎えした蓮たちの一部をご紹介しましょう!
まずは、清涼感ただよう西光寺白蓮です。


そして誰もが足をとめる美女のような、知里の曙です。

つづきまして、かわいらしい翠薇夕照です。

下の写真は、天高雲淡です。同じ品種でも手前の花は開花4日目、退色していますが、奥の2日目の花は爪紅で、花弁の先端が紅色なのが分かります。

次は巨椋池大黒です。巨椋(おぐら)系の蓮については詳しく過去記事でご紹介しています。

巨椋池大黒は今年も大輪の花を咲かせています。

下の写真は、巨椋の曙です。巨椋系の蓮です。


白蓮のなかでも特に濃厚な白い花を咲かせる、白万々(はくまんまん)です。白の八重は豊かな気分にさせてくれます。


それに比べて、太白蓮は清楚な白い花をつけます。外側の花弁が緑がかっていて、いっそう白さを際立たせています。


鮮やかな紅蓮の香葉です。花だけでなく葉も芳しい品種で、この葉は蓮茶に使われます。


続いて、初日にカメラマンたちの注目を浴びていた真如蓮です。大型の威厳ある白蓮です。

上の真如蓮ほど大きくなく、同じく白い花をつける輪王蓮です。中央の花は開花3日目で、生命力にあふれています。


次は、カスピカムです。遠いカスピ海のちかくで咲く蓮で、日本ではあまり見られません。
カスピカムはまだ蕾がありますので、来週の開放日も咲いているかもしれません。


目川西です。立ち姿が映える品種で、となりには蕾が。


美貌の白繍蓮(はくしゅうれん)です。去年より花つきが良いですので、来場した方はぜひご覧くださいませ。


下の写真は、八重咲きの天昇です。去年までは、天に向かって高く咲いていたのですが、今年は花つきが良くない上に、花径が小さく、背が低いまま。泥の中では蓮根がぎゅうぎゅう詰めで、植え替えの時期に来ているのかもしれません。


最後は桃白条です。葉の数が多く、今年は元気いっぱいに咲いています。


活発なのは蓮だけではありませんでした。見本園で藻とりをしていた大賀ハスのふるさとの会のメンバーが、ハスのマスから大きなクサガメを取り上げました! 人に慣れていたので、おそらく捨てられて見本園に住み着いたのではないかと考えられます。やんちゃな外来種のミシシッピアカミミガメではありませんが、蓮を食べるのでバケツに捕獲しました。


初日は予想以上の多くの人に足を運んでいただき、ありがとうございました。ブログを見て来ましたという若いご家族もいらして嬉しかったです。

今月はあと5日間の一般開放日があります。詳しくはこちらでご確認ください。
千葉でこれほど多くの種類の蓮を一度に見ることができる珍しい機会です。7月の後半には、咲いている蓮の種類も変化して見本園の雰囲気も変わりますのでお楽しみに。

美しい蓮たちとともにお待ちしております。

一般開放日の初日の報告は以上です。


(担当: れい)

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2020年7月11日 蓮の見本園の一般開放 初日の報告 1

2020-07-12 18:23:28 | 日記
今日は蓮の見本園の開放日でした。初日の様子をご紹介します!
天気はくもり、気温29度、湿度70%、ときおり風が強く吹くなかでの開催となりましたが、多くの人にご来場いただきました。

7月の見本園では、世界中から集められた100種以上の蓮が咲き乱れます。

今日のハイライトは、検見川蓮でした。背の高い立派なこの一輪には、多くの人が足を止めて写真を撮っていました。
上の写真は、千葉市の花である大賀ハスの実から成長して咲いた花です。しかし品種名は検見川蓮です。大賀ハスと名乗れるのは、大賀ハスの蓮根から成長した蓮だけです。このような実生(みしょう)の蓮は、たとえ大賀ハスの実からできたとしても、受粉の段階で他の蓮と交雑した可能性があるために「検見川蓮」と呼ばれます。


蓮の花の開花時期は、品種によって異なります。7月の中旬に咲き終わる蓮を見られるのは今週末だけだと知って立ち寄った来場者もいらっしゃいました。
例年のようなイベントや物品販売はありませんが、パネルで蓮の生態や大賀一郎博士の功績について説明しています。

お手数ですが、今年は皆様に受付にて手指の消毒とお名前・ご連絡先のご記帳をお願いしています。新型コロナウィルス感染防止対策の一環です。

広い見本園を効率良くまわるために、順路の標識を作りました。
そしてエリアごとに蓮の品種マップを設置しました。

見本園の一般開放日の初日の報告がつづきます。

(担当: れい)
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2020年7月9日 JR新検見川駅にハスを飾りました

2020-07-09 16:54:06 | ハス
大賀ハスのふるさとの会が活動している旧東京大学緑地植物実験所は、千葉市花見川区にあります。近隣の花園地区では毎年夏に「花園ハス祭り」を開催して、その中でハス見本園を一般の方に公開する観蓮会が行なわれます。今年はあいにくお祭りも観蓮会も中止となりましたが、私たちが活動しているハス見本園をぜひ一般の方々にも見ていただこうと、7月11日から7月中の土曜・日曜の午前7時~10時まで一般開放日としました(6月6日付のお知らせ記事をご参照ください)。

そしてJR新検見川駅のご協力により、例年のようにハスの大鉢を展示させていただくことになりました。

大賀ハスのふるさとの会顧問である南定雄先生から鉢植えのハス5鉢をお借りして、重機のついているトラックで駅まで持ち込みました。
7月9日午前10時半ごろ、駅の北側、千葉銀行付近の交差点にトラックが到着しました。ここからバックで駅エレベーターの前まで移動します。北口バスターミナルがすぐそばにあるので、通行の人々の邪魔にならないようにトラックを誘導しないといけません。

トラックはバックで線路のすぐそばまで移動します。積んでいるハスの鉢を一つずつ降ろしてはエレベーターで駅舎の2階に運び上げます。エレベーターを利用される方々の間を縫って押し車ごとエレベーターに乗せます。

最後の一鉢は大賀ハスです。これは重機で吊り上げました。


北口階段の上に五つの鉢が勢ぞろいしました。
せっかくの蕾が風で折れないように支柱を立てたり、痛んだ葉を切り取ったり、南先生が手を入れてくださいます。


毎年恒例の風物詩になっている、新検見川駅の花ハス展示。駅を利用される皆さんもよくご存じで、写真を撮っていかれる方もいらっしゃいました。
鉢は運びやすくするために水を少なくしているので、駅の水道をお借りして鉢に水をたっぷり追加します。長いゴムホースが改札口の中を走りました。乗り降りされた乗客の皆さんには、ご迷惑をおかけして申し訳ありませんでした。
バケツに水を汲んで、ハスの鉢に注ぎ込みます。


また鉢の外側が泥で汚れているので、雑巾でふいてきれいにします。
駅から白い鎖もお借りしました。


7月9日午前11時半ごろに作業は無事終了しました。

作業翌日(7月10日)お昼ごろのハス鉢展示の様子です。ハスの鉢は、左から「香葉」、「大賀ハス」、「大賀ハス」、「桃白条」、「カスピカム」です。


駅を利用される方々がこれらのハスに目をとめてくださり、例年のハス祭りのことを思いだして下さるでしょう。7月11日土曜日からの一般公開にぜひお出かけください。皆でお待ちしています。
(担当: えむ)
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