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共感力障害と自閉症・ADHD  №286

 ダイバーシティ(多様性)を認める社会を目指していると言いながら、日本の社会は相変わらず同調圧力が強く、なかなか異った意見を出しにくい雰囲気があります。一方でネット社会では偏狭な正義感からの誹謗中傷も少なくありません。
 (株)感性リサーチ代表取締役社長の黒川伊保子さんは、自身も認める自閉症スペクトラム症ですが、「夫のトリセツ」や「妻のトリセツ」等多くの本を書いている方です。その中の一冊「共感障害」~話が通じないの正体~(新潮社)という本のなかで、自閉症とADHDについて興味深い洞察がありましたので以下に紹介します。

 「 自閉症」 について 、 多くの日本人は誤解している。「自閉症」の英語対訳は 、 autism である。 autism は 、ギリシャ語の autosオートス(自己)に由来する。オート autoは自立、自律、自動、などの意味使われる。日本でも外来語としてよく使われるオートメーション、オートドアのautoである。
  autism の対語はティピカル。典型的な、という意味だ。直訳すれば「独自主義」のようなもの。独自の世界観で物事を見、独特の手法でコミュニケーションを取るので自己完結で動いているように見える。「典型的な人」に分かりにくいだけで、別に「外界を拒絶して自分の中に閉じこもっている」わけではないのである。
 つまり、自閉症というのは、「自分の中に閉じこもって、人を拒絶する」障害のことではなく、「独自のものの見方をするため、汎用の典型的なコミュニケーションが成立しにくい」症状のことなのである。それが、軽度であれば、「個性的」と呼ばれ、中度であれば頑なな「変人」と呼ばれ、重度であれば、「障碍者」と呼ばれる。個性的、変人、発達障害、知的障害の明確な区分はない。それは、所属するコミュニケーションモデルの厳格さに左右される。
 一方で、ADHDは自閉症によく似たコミュニケーション障害を呈するため、自閉症と共に語られることが多いが、ミラーニューロンを基軸に考えると、実は対極の症状と言える。ADHDは、ノルアドレナリン欠乏で起こる、極端に注意力散漫な状態。ノルアドレナリンは、集中力や注意力を作り出す脳内ホルモンである。注意力が散漫なために、周囲のいろいろな点がちらちら目に入るが、その関連性を見抜く能力が低い。このため、一つ一つの認識フレームが単純なかわりに、その数が多いのが特徴だ。認識フレームの〝無責任〟 量産型なのである。周囲の情報が微細に脳に飛び込んできて、その関連性を主張してくるために、認識フレームがなかなか作れない自閉症とは対極の脳だ。
 マイクロソフト社の創設者ビルゲイツ氏は自閉症だったと言われています。アップル社創設者のスティ-ブジョブス氏や楽天の三木谷浩史社長はADHDの傾向があったと言われています。多様性を認めることが新たな未来を拓く鍵にもなることを銘記したいものです。
 

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