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アルコール依存症に新薬登場  №171

2013-02-13 21:11:37 | インポート
 2月8日の日経新聞にはアルコール依存症患者向けの新薬が登場したという記事が掲載されていました。国内の飲酒人口は6000万人で、アルコール依存症の患者数は約80万人と推定されています。そのアルコール依存症患者向けた新薬が5月に日本新薬から発売されるということです。
 従来アルコール依存症患者に使用されていたのは、シアナミドやジスルフィラムという抗酒剤です。抗酒剤は酒が嫌いになる薬ではなく、アルコールを分解する作用を阻害して、少量の飲酒でも気分が悪くなり、飲酒のもたらすほろ酔い気分をなくしてお酒を遠ざけるようにする薬です。いわば、二日酔い状態にさせてお酒を飲ませないようにするわけですが、いったん断酒しても、再飲酒の危機は至る所にあります。
 もともと、嫌いではありませんから気がついたら飲んでいたというようになんの抵抗もなく飲酒してしまう場合もあります。抗酒剤を服用していれば、アルコールを飲んだら苦しくなるということが分かっているので、強い飲酒欲求に見舞われることは少ないのですが、逆に服用しなければなんの効果もなく、完治につながりにくいとされていました。
 新しく発売される「レグデクトデクト」という薬は、飲むと気分が悪くなるのではなく、飲みたいという気持ちそのものを抑えるのだということです。ただし、今日は酒を飲むのをやめて、薬で我慢しようというようにはいかないようです。新薬の販売は医療機関向けだけで市販されないようです。
 アルコール依存症の治療には、治療を受ける気になるため心の準備や離脱症状の治療、身体合併症の治療、心理的問題や人間関係の問題の整理、家族療法、断酒継続のための援助、自助集団への出席など多くのことが必要で、抗酒剤を飲んだからといって、アルコールに依存しなければならなくなった状態を変えられるものではないと言われてきました。
 つい先日は、大脳前頭前野の腹内側部や背外側面に磁場をあてることで喫煙欲求や飲酒欲求を抑えるという記事が紹介されていましたが、こちらは自分の意思とは無関係に飲みたくなくなるものです。お酒を飲むか、薬を飲むかを自分で選択できるとしたら、お酒好きな人が薬を飲むことを選ぶことは考えにくいのですが、新薬が特効薬になることを期待したいものです。