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嫉妬は身を滅ぼし、羨望は奮起を促す? №258

2017-08-20 12:21:55 | 日記
 世界史を専門とする方から、古代ギリシャが「嫉妬の文化」であったのに対し、古代ローマは「羨望の文化」であったと伺ったことがあります。古代ギリシャは高い文明を持ちながら、小さな都市国家間で互いに覇権争いをして滅びてしまいましたが、ギリシャ文化を羨望していたローマは他国の宗教や文化を柔軟に取り入れ発展していきました。
 「羨望」というのは、自分にはない才能や、美しい容姿、優れた実績、財産などを他の人が持っていることに対して起こる感情で、「ひがみ」や「劣等感」を起こす場合もありますが、自分が努力して対象に近づきたいという「奮起」を促すための動機にもなります。
 一方で、「嫉妬」は相手への「ひがみ」や「劣等感」が、「憎しみ」となって攻撃的になった感情です。「嫉妬を止められない人」(小学館)の著者で精神科医の片田珠美さんは、「私たちが所有している幸福、もしくは所有しているように思い込んでいる幸福を守ろうとするために生じる感情が嫉妬である。」と言っています。そして、「嫉妬しやすい人の特徴」として、次のような人をあげています。①自己中心的な人。②人の好き嫌いが激しい人。③自分の非をなかなか認めようとしない人。④言い訳や不平不満の多い人。⑤自己愛の強い人。
 また、嫉妬が生じやすい状況として、①自分の立場を脅かしかねない部下や後輩に対して嫉妬を抱きやすい。②閉鎖的な人間関係の中で起こりやすい。③兄弟や夫婦など近親関係ではより激しくなる。④同性の者に対して、より嫉妬が起こりやすい。などの特徴をあげています。そして、自分が他の人から「嫉妬」される対象になったら、どのように身を守るかについて以下の7項目を提案しています。①自分の弱さをさらけ出す。②我を張らず、謙遜する。③功は人に譲る。④実績は誇らずに淡々と示す。⑤正当な努力をし続ける。⑥相手をよく分析する。⑦嫉妬される場所から離れる。
 では、自分が嫉妬する立場になったときはどうすればよいのかについて次の7項目を挙げています。①嫉妬している自分を素直に受け入れる。②一つの価値観に縛られない。③「正当な努力」をしてみる。④嫉妬する場所から離れる。⑤自分を他人と比べるのをやめる。⑥多様なつながりをもつ。⑦自分のテリトリーの限界を見極める。
 しかし、漫画家の手塚治虫氏の弟子の石ノ森章太郎氏に対する嫉妬や、俳優の長門裕之さんの弟津川雅彦さんに対する嫉妬、作家の村上春樹氏に対する編集者安原顕氏等の嫉妬の激しさ知ると、私たちが「嫉妬」の業火から逃れるのはそれほど簡単ではない気がします。
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