フランソワ・トリュフォーの『アデルの恋の物語』(1975)でアデルH.(イザベル・アジャーニ)が一方的に熱を上げるイギリス軍中尉を演じ、その後は初監督作『ウィズネイルと僕』(1988)がカルト化したブルース・ロビンソンの監督最新作『ラム・ダイアリー』が公開されている。『ウィズネイルと僕』以後はいったい何をしていたのやら、その後の作品は未見である。
原作がハンター・S・トンプソン(主著『ヘルズエンジェルズ』)の自伝ということで、無頼派的、アルコール中毒的な世界が最初から最後まで展開される(そういえば石丸元章が去年『ヘルズエンジェルズ』を邦訳し、これはぜひ読もう読もうと思っているのだが、依然として買いそびれている)。トンプソンが若き日に過ごしたカリブ海プエルトリコの主都サン・フアンでの半ば呆然とした酒と女とバラの日々(本当にバラも出てくるのだ)が、ポーランド出身の撮影監督ダリウシュ・ヴォルスキの手によって、プエルトリコの地酒ラムのごとく、どこまでも気だるく甘美な悪夢として定着しているのだ。
主人公を演じるのはジョニー・デップで、『ダーク・シャドウ』に引き続きデップ主演映画のレビューを連投するのはなんとも奇遇である。主人公が岡惚れする頽廃的なブロンド美女シュノーを演じているのは、カーペンター『ザ・ウォード 監禁病棟』のヒロイン、アンバー・ハードである。原作者のトンプソン、主演のジョニー・デップ、監督・脚本のブルース・ロビンソンは三位一体というか、この『ラム・ダイアリー』という映画を通じて同一人物のようにメランジェされている。
ひどく無内容で自堕落なシナリオだが、それをまったく気にしない層を当初からあてにした企画だと思う。『ありきたりな狂気の物語』や『バーフライ』などブコウスキーものに目がない人種に向けた、季節外れの贈り物のような人間喜劇である。
新宿ピカデリー、TOHOシネマズ錦糸町ほか、全国で公開中
http://rum-diary.jp/
原作がハンター・S・トンプソン(主著『ヘルズエンジェルズ』)の自伝ということで、無頼派的、アルコール中毒的な世界が最初から最後まで展開される(そういえば石丸元章が去年『ヘルズエンジェルズ』を邦訳し、これはぜひ読もう読もうと思っているのだが、依然として買いそびれている)。トンプソンが若き日に過ごしたカリブ海プエルトリコの主都サン・フアンでの半ば呆然とした酒と女とバラの日々(本当にバラも出てくるのだ)が、ポーランド出身の撮影監督ダリウシュ・ヴォルスキの手によって、プエルトリコの地酒ラムのごとく、どこまでも気だるく甘美な悪夢として定着しているのだ。
主人公を演じるのはジョニー・デップで、『ダーク・シャドウ』に引き続きデップ主演映画のレビューを連投するのはなんとも奇遇である。主人公が岡惚れする頽廃的なブロンド美女シュノーを演じているのは、カーペンター『ザ・ウォード 監禁病棟』のヒロイン、アンバー・ハードである。原作者のトンプソン、主演のジョニー・デップ、監督・脚本のブルース・ロビンソンは三位一体というか、この『ラム・ダイアリー』という映画を通じて同一人物のようにメランジェされている。
ひどく無内容で自堕落なシナリオだが、それをまったく気にしない層を当初からあてにした企画だと思う。『ありきたりな狂気の物語』や『バーフライ』などブコウスキーものに目がない人種に向けた、季節外れの贈り物のような人間喜劇である。
新宿ピカデリー、TOHOシネマズ錦糸町ほか、全国で公開中
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