どんぴんからりん

昔話、絵本、創作は主に短編の内容を紹介しています。やればやるほど森に迷い込む感じです。(2012.10から)

おまつりを たのしんだ おつきさま

2024年07月27日 | 絵本(昔話・外国)

   おまつりを たのしんだ おつきさま/マシュー・ゴラブ・文 レオビヒルド・マルティネス・絵 さくまゆみこ・訳/のら書店/2019年

 

 メキシコのオアハカ地方に伝わる、お月さまのお話で、これまでみたことのない独特な絵でした。

 むかしむかし、おひさまとおつきさまは別々のお空にすんでいました。
 ある晩、お月さまの耳に、星たちが おひさまの空に、引っ越ししたいなという声が聞こえてきました。昼間にはきれいな色や楽しい色がたくさんあって、おひさまの もとでしか見られないと聞いて、おひさまの世界が羨ましくなります。
 そこで、夜にお祭りをすることを思い付いたおつきさまお月さまは、おひさまのせかいをちょっとのぞいてみようとおもいたちましたが、お月さまは いつも夜が終わるとねむくなります。

 ある日、にぎやかな音で目を覚ましたお月さまが、下を見ると、まるい はなびをつけた とりや、どうぶつの かざりがくるくる まわっています。モヒガンガというおおきな人形も おどりだしました。おひさまは 空を すすみながら たのしそうに にこにこ わらっていいます。これが 「おまつりというものなんだな」と おもった お月さまは、夜に おまつりを しようと おもいつきました。おひさまはバランスがくずれてしまうといいましたが、お月さまは、夜の村を守る番人たちに 話をもちかけました。番人も昼は寝ていていて、おまつりにでられませんでしたから、よろこびました。
 お月さまは 前に見た おまつりを思い出し、ごちそうと飲み物、音楽も用意することにしました。おんなのモヒガンガが、あかりをもってあつまろうと提案すると、おとこのモヒガンガは、ランタンをもってあつまれば いいのさと いいました。

 お月さまが、おまつりを取り仕切るパドリーノを 任命すると、パドリーノたちは、食べ物を、動物たちに 頼みました。みんなは、のんだり、うたったり、たべたり、おどったりしました。お月さまは、テーブルのご馳走を食べすぎて、空をすすんでいくことができなくなりました。すると、ひとびとは、時間がわからなくなり、パーティは いつまでもいつまでも つづきました。おひさまが 顔をだしても そこには まだお月さまがいたのです。

 夜のおまつりのせいで みんなは よどおし おきていて、その朝はトウモロコシの粉をひく人も、畑を たがやすひともいません。作物も植えたり、たねをまいたりするひとも いません。これで、みんなは ちゃんと くらしていけるでしょうか?

 後悔したお月さまは、夜の空に とどまることにしました。でも、たのしかった おまつりのことは わすれられません。それで、お月さまは、いまでも ときどき ちょっと はめを はずすのです。

 オアハカのひとたちは、あさおきて、おひさまと お月さまの 両方が 空にうかんでいると、「ゆうべは お月さまが おまつりを していたんだね」と いいます。

 

 モヒガンガ、ファローレス、パペルピカド、パドリーノなど、なじみのない言葉がでてきますが、この意味は、最後の解説で知ることができました。

 パペルピカドは、薄紙を切ってつくるかざりで、日本でいえば万国旗、パドリーノは、音楽やごちそう、イベントを用意し、お祭りや儀式をとりまとめる人をいいます。


この記事についてブログを書く
« とっしんたと おさるのキッキ | トップ | 東京おすすめ紙芝居マラソン »
最新の画像もっと見る

絵本(昔話・外国)」カテゴリの最新記事