兵庫のむかし話/兵庫県小学校国語教育連盟/日本標準/1978年
あれっ?とおもうタイトル。昔話のタイトルは誰がつけたものでしょうか。
山へしばかりに行ったじいさまが、木陰で一休みし竹筒のお茶を飲もうとすると、キジがやってきて「ケーン ケーン バタバタ ばあばのはらにくっつきたい」と、なんども鳴きます。
じいさまが、ばあさまにその話をすると、ばあさまはげらげらわらって、「そりゃおもしろい。あしたの朝は山につれていってそのキジの声をきかせてくれ」と言うた。
きのういたあたりまでいくと、バタバタと羽音がして「ケーン ケーン バタバタ ばあばのはらにくっつきたい」という声。
ばあさまがうなずいて、おもいっきり大きな声で、「くっつきたけりゃくっつけ」と、わめくと、ばあさまのはらがずしんと重とうなった。重くてとても歩けなくたおれてしまったばあさまが、「何がひっついているかみてくれ」と、帯をとくと、びっくりぎょうてん、大判小判がざくざくおちてきて、腰が抜けてしもうたそうや。
この話を聞いたとなりのよくのふかいじいさまとばあさまが、山へのぼっていき、帯をとくと、ばあさまのはらからおちてきたのは、岩のカケラやいしころばっかりやったそうじゃ。
大判小判を手にしたじいさまは、山にいくと、キジに、にぎりめしを やっていたので、その見返りでした。じいさまはキジの声を聞いてバタバタしますが、ばあさまの方は面白いと肝が据わっています。