いまに語りつぐ日本民話集5 あわてんぼうの早とちり/監修:野村純一・松谷みよこ/作品社/2002年
ある長者の家で、お正月に招かれた一休和尚に、女子衆が、お茶をもってきて、お茶を差し出すのに、ちょっとけつまずいて、お茶をこぼした。女子衆がびっくりして、雑巾で床の間のほうを拭いた。すると主人が、「この正月のめでたいのに、座敷を雑巾で汚すというちゅうことあるか」って、えらく、怒った。
そこで、一休和尚が歌で とりなす。
「雑巾という字を当て字に書けば 蔵と金
あちらふくふく こちらふくふく」
するとその主人、「あー結構なことしてくれたな、してくれた。正月早々から、あちら福々、こちら福々」と、喜んだと。
同音異義は、うけとめようで いい意味にも、悪い意味にも!