語りつぐ人びと*インドの民話/長弘毅/福音館文庫/2003年
遺産相続の話。
四人の兄弟が、17頭のゾウをわけることになって、それぞれ理由をならべて、ゾウをもらおうと話し合いがつづけられますが、どうしても決まりません。そこでアッパージーに決めてもらうことにします。
アッパージーは、17頭のゾウを一列にならべると、一番大きいゾウの背中にまたがり、のこりのゾウを、みんなでわけるようにいいます。四人はそれぞれ4頭づつのゾウを手に入れ、ここまでは文句がありません。
アッパージーは、「余計なゾウで、けんかになったら、このゾウは、不吉だ。このゾウをこのままにしておくと、おまえたちの身に何が起こるか、わかったもんじゃない。これを四人の名前で寺に寄進することにしよう。おまえたちの名もあがり、喧嘩もなくなる。そのうえ、功徳が得られるとなれば、これにこしたことはなかろう」と、ゾウに乗って立ち去ります。
遺産相続のもめ事も聞きますが、昔話では、相続の仕方も明快です。