カナリア王子/イタロ・カルヴィーノ・再話 安藤美紀夫・訳/福音館文庫/2008年初版
なしっ子が、ほかの召使から、魔女の宝物をとりにいくんだと自慢しているというわさをたてられてしまいます。
うわさを聞いた王さまから「自分のいったことは、ちゃんとやりとげなければならん」といわれ、宮殿からおいだされてしまいます。
なしっ子が宮殿で、働くことになったのは、毎年納めなければならないナシの数が少なくて、父親がナシの量を水増しするために、かごに入れられて、宮殿にいったのがきっかけでした。
かごにはいっていたのをすぐみつけられてしまいますが、運よく台所仕事をすることになり、はじめはうまくいっていたのですが、大きくなるにしたがって、ほかの召使からねたまれるようになっていました。
魔女の宝物をさがしにいったなしっ子は、ひとりのおばあさんから「ラードを三ポンド、パンを三ポンド、きびを三ポンド」をもっていくよう助言されます。
歩き続けていくと三人の女の人が、お互いに髪の毛をむしりあい、かまどの掃除をしていました。なしっ子はもっていたきびでかまどの掃除をするよう一ポンドずつやります。三人は、髪の毛のかわりに、そのきびで、かまどの掃除をはじめます。
次に、喧嘩好きの犬のところにやってきたなしっこは、三匹の犬に一ポンドずつパンをなげてやり、そこをとおりぬけます。
歩いて歩いて血のように赤い水をした川は、おばあさんからおしえてもらったように、川をほめてとおりすぎます。
やがて着いた大きな宮殿の扉はギーギーバタバタ。三ポンドのラードを、門のちょうちがいにぬってやってなかにはいり、宮殿で見つけた宝物の小箱をみつけかえることに。
小箱は、門をとうろうとすると、「この子をころしておくれ」、川のところにやってくると「この子をおぼれさせておくれ」、犬のところにくると「この子をたべておしまい」、かまどのところにくると「かまどよ、この子をやいておしまい」と、いろいろ邪魔をします。
しかし、小箱のいうことはだれもききません。
なしっ子が小箱のなかをみようとすると、金色のひよこをつれためんどりがとびだしてきます。
ここでもおばあさんに助けられて、宮殿に戻ったなしっ子でしたが、王さまの息子が「私の父が、ほうびとして、なにがほしいかとたずねられたら、地下室にある、すみのいっぱいはいった箱がほしい」というようにいいます。
王さまから望みのものをいうよに言われたなしっ子が、王さまの息子にいわれたようにこたえると、箱の中からは、王さまの息子があらわれます。
長めの昔話によくあるように、何かをさがすにいくとき、行く手を邪魔するものがあらわれますが、主人公が親切に言い分をきいてあげたので、それがあとになって、いきてくるという構成です。
主人公を助けてくれるおばあさんがあらわれるのも昔話らしいところです。
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