どんぴんからりん

昔話、絵本、創作は主に短編の内容を紹介しています。やればやるほど森に迷い込む感じです。(2012.10から)

ヒルトン屋敷のブラウニー・・イギリス

2024年07月10日 | 昔話(ヨーロッパ)

   かじ屋と妖精たち/イギリスの昔話/脇明子・編訳/岩波少年文庫/2020年

 

 ヒルトン屋敷に住みついているブラウニーは、いたずら好き。塩壺に砂糖を入れるやら、ビールのコショウを入れるやら、椅子はなげたおし、テーブルはひっくりかえすやら、まったくなにをしでかすか見当がつかない。

 ところが召使いたちが、ボールにクリームを入れとくか、パンにハチミツを塗っとくかすれば、皿洗いを全部やって、台所をきれいに片づけといてくれた。

ところがある晩、召使たちが夜更かししておったら、なんとブラウニーが 焼きぐしを回す鎖につかまって、ぶらんぶらんやりながら、こんな歌をうたっていた。

 悲しや、悲しや、どんぐりは
 さっぱり木から、落ちてこん
 そのどんぐりが、芽を出して
 それが大きな木になって
 それで作ったゆりかごで
 ゆ-らりゆらりと、赤んぼが
 育って大人になったらば
 おいらを放してくれように
 悲しや、それは、いつの日か

 みんなは、そのブラウニーのことをかわいそうに思って、近所にいたたニワトリ飼いのばあさんに、どうすればそいつを放してやれるかのと、たずねてみた。ばあさんの話によれば、仕事をしたのに対して、食べ物や飲み物なんかでなく、もっと長持するお礼をもらったら、すぐにいってしまうのだそうだ。そこで、みんなは、緑色の布で、フードのついたマントを作り、それを暖炉のそばにおいて、かげからこっそりようすを見ていた。するとブラウニーがやってきて、フードつきのマントをみると、さっそくそれを着こみ、片足で立って、ぴょんぴょん跳ねまわりながら、歌をうたった。

 マントを、もーらった
 フードも、もーらった
 これでおしまい おいらの仕事
 ヒルトン屋敷に、おさらばさ

 そして、それっきりいなくなり、二度とその姿をみることはなかったということだ。

 ところで、ブラウニーって?

 小さくておかしなやつで、半分人間、半分コブリンのようで、もじゃもじゃと毛深くて、とがった耳。宝を埋めて、それを守りたいなら、埋めたところに殺したばかりの子ヤギか子羊の血を、ちょっぴりまいとくといい。宝とそのからだをまるごと埋めると、ブラウニーが 近づくものを脅かして、あんたの宝をまもってくれる。

 

 日本の貧乏神どうよう、外国にも屋敷に住みついている存在があるという話。いなくなったあとも気になります。グリムの「こびとのくつ屋」も、服やくつを手に入れると、いなくなる存在です。


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