どんぴんからりん

昔話、絵本、創作は主に短編の内容を紹介しています。やればやるほど森に迷い込む感じです。(2012.10から)

天に行った蛙の話・・ベトナム

2021年01月24日 | 昔話(東南アジア)

         アジア心の民話④/語りおじさんのベトナム民話/坂入正生:編・語り 小島祥子・絵/星の環会/2001年

 

 長い日照りが続き、蛙が天帝に雨をふらせてくれるようお願いに出かけます。

 途中、蟹、虎、熊、狐、蜂も蛙にくわわりました。みんな雨が降らず困っていたのです。

 天の庭の門につき、大きな太鼓を叩くと、雷さまが「だれだ。わしの太鼓を無断でたたくやつは。でてこい。」と大きな声で叫んでいます。蛙がじっとしていると、天帝が雷さまの声を聞いて、「鶏を放して、いたずらものをとらえるように」と言いました。けれども鶏が放されると、狐が鶏を食べてしまいました。

 つぎに、天帝が狐を退治する犬を放すと、熊がすぐに犬をつかまえ、殺してしまいました。

 雷さまがでてくると、蜂が雷さまを刺し、虎が雷さまを食べてしまいました。

 蛙の知恵におどろいた天帝が姿をあらわすと、蛙は雨を降らしてくれるようお願いします。蟹も虎も熊も狐も蜂も、みんなでお願いです。

 知恵のある蛙に感心した天帝は、蛙がギリギリと天を向いて、歯ぎしりしたなら雨を降らせることを約束します。それからは雨が降る前には、いつも蛙の声がするようになりました。

 

 坂入さんは、中学校の国語教師を退職された後、ベトナム難民の方々との交流で、ベトナムの昔話を知ることになったと、ありました。

 東京の渋谷区で語り手としての活動も続けていて、すんなりと伝わってくる文になっています。


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