ビルマのむかしばなし/中村祐子他再話/新読書社/1999年
王さまと大臣たちが、生まれてくる子どもが、男か女かを知らせる合図を待っていると,突然二本の糸が同時にひかれました。「双子だ!」と、そこにいた人々がみな叫びました。
ところが王妃が産んだのは大きな卵でした。産婆が驚きのあまり糸を二本引いてしまったのです。王さまは恥ずかしさのあまり気が動転して、卵を川に投げ捨て、王妃は庭師の手伝いをするように命じました。
卵は川下で、老婆に拾い上げられ、老婆が食べようとすると、卵の中からひとりの男の子がでてきました。男の子は、「私は、お前のお母さんだよ」といわれて、いっしょに暮らしました。
ある日、老婆がジャングルにでかけるとき、見張り塔、地下室、台所にはいかないように言い残しでかけていきました..
「行くな」といわれると、たいていというか かならずというか、それを無視するのが昔話。少年は、まず見張り塔にはいって、そこに鎖につながれている老人をみつけました。老人は、鬼婆にとらわれていて、もうすぐ食べられること、時期が来れば少年も食べられてしまうことを告げます。地下室で人の骨を見つけ、老人の言うことが本当だったことを知り、台所にあった壺のなかの三つの玉をもって、鬼婆のところから逃げ出しました。
少年が玉を投げると、おいかけてくる鬼婆のあいだに、深い森、七つの山、火の山があらわれ、鬼婆は火の山で燃えてしまいます。
少年は、羊かいと賭けをし、米を手にしますが、半分は返して旅を続けました。まもなく「ナットの精」の寺院につくと、少年は米の半分をあげ、「かわいそうなナット、かわいそうなナット」と叫びました。すると「ナットの精」は巡礼の姿で現れました。巡礼は、少年を、父親である王さまのところへつれていき、逆上して川に捨てた王さまの息子であるといいます。巡礼がナットの精だと知った王さまは、自分の後継者であると宣言し、少年の母も、王妃の座にもどしました。
あまりこだわりはないのですが、「ナットの精」が何なのか、気になりました。