どんぴんからりん

昔話、絵本、創作は主に短編の内容を紹介しています。やればやるほど森に迷い込む感じです。(2012.10から)

ルラルさんのたんじょうび

2022年03月17日 | 絵本(日本)

     ルラルさんのたんじょうび/いとうひろし・さく/ポプラ社/2010年

 

 料理自慢のルラルさんが、ケーキを焼きあげました。あまい かおりに さそわれて 動物たちが集まってきました。

 「何かのお祝いですか?」と尋ねられたルラルさんが、てれながら「わたしの 誕生日なんだ。」と答えますが、ルラルさんには家族はいないし、友だちは 遠くで いつも ひとりで おいわいしていました。

 それを聞いた動物たちが、部屋から出ていくと、こんどは プレゼントを もって かえってきました。

 お誕生日の歌をうたい、ルラルさんが ろうそくを消して お祝い。

 誕生日を祝ってくれた動物たちから、ルラルさんへの お願いがありました。動物たちは、生まれて すぐに 捨てられたり、迷子になったりして自分の誕生日がいつなのか わからなかったのです。みんなは、ルラルさんと おなじように きょうを 誕生日にしたいと いいだしました。ルラルさんも 大歓迎して もういちど 誕生日の お祝い。

 さいごに ケーキを きりわけて みんなで なかよく食べましたが、ルラルさんだけは ケーキを たべていません。

 「だいじなことを 忘れていたんだよ。」「誕生日には お母さんに ありがとうを いわなくっちゃ。」「みんも たまに こんなことおもわないかい。自分は何のために 生まれてきたのかなってね。だけど そんなこと よくわからないんだよ。でもさ、どうやって うまれたかは、はっきりしてるんだ。お母さんが うんでくれたからだよ。もう ここには いないけれど わたしが いま このいるのは おかあさんの おかげだもんね。」

 みんなが、どこにいるのか わからない お母さんに そっと 話しかける場面に、ジーンときました。

 

 ルラルさんと、おおぜいの動物たちが どんなふうに 歩んできたか なにも 語られていないのですが、シリーズになっているようですから、それぞれのドラマを 予感させてくれます。


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