どんぴんからりん

昔話、絵本、創作は主に短編の内容を紹介しています。やればやるほど森に迷い込む感じです。(2012.10から)

てんさらばさら てんさらばさら

2022年03月20日 | 絵本(日本)

    てんさらばさら てんさらばさら/わたりむつこ・ぶん ましませつこ・え/福音館書店/1983年初出2009年

 

 おばあちゃんと海岸で遊んでいたまゆ。おばあちゃんが「ゆきふってこい」と歌をうたうと、本当に空から 雪のようなものが。
 それを見たおばあちゃん、「これは てんさらばさらだ。これに おしろいをふりかけると、すこしずつふえてね。そのたびに いいことが おこるんだよ。でも、いいかい。だれにも みせちゃだめだよ。せっかくのいいことが にげてしまうからね」と言いました。

 まゆは、おばあちゃんのいうとおり、「てんさらばさら」を ちいさなうるしぬりの はこにいれ、おしろいこを ふりかけ、こっそりと ひみつのばしょに しまいました。

 それからは、本当に つぎつぎ いいことがおこりました。

 まゆが、18歳になってまもなく、漁師のかざたろうと 結婚し、5人の子どもも さずかります。

 「てんさらばさら」は ふえつづけ 行李に移されましたが、あふれるほどになっていました。まゆは 夜になると屋根裏部屋で おおきな袋をつくりだしました。

 毎日、屋根裏部屋にいく まゆを 子どもたちが みつけ、「おかあちゃん、やねうらべやには なにがあるの」と聞きます。かざたろうも まゆのようすが へんだぞと きがつきます。

 つぎの日、まゆが 「てんさらばさら」で いっぱいになった袋を 背負うと、そっと 家を抜け出します。子どもたちとかざたろうが いそいで あとをおいました。おいついたかざたろうが、袋にとびつくと、そのひょうしに 「てんさらばさら」が 袋からあふれ出し、あたり一面に まいあがりました。

 まゆから、話を聞いたかざたろうは「そんものがなくたって、おれたち いくらでも しあわせになれるさ。これまでだって そうだったんだ。それこそ ほんものの しあわせじゃないか」といいます。まゆも 自分の力で やってみようと、勇気がわいてきます。

 

 「てんさらばさら」を守り抜こうと思っていたまゆが、幸せは自分でつかむものと気がつくラストに考えさせられました。

 まゆの作ったの袋が、小さいころきていた着物のパッチワークだと、ほかの方の感想にあり、もういちど見直しました。 

 

 やはり きになったのは「てんさらばさら」。手に入れると幸福をもたらすという東北の民間伝承で、古事記にも出てくるという「ケサランパサラン」のことのよう。

#絵本(日本)


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