グリムの昔話2/大塚勇三・訳/福音館文庫/2002年
ひどく高慢ちきなお姫さま、三人の仕立屋、クマ、ヴァイオリンと昔話には欠かせない道具立て。
お姫さまが「わたしの謎を解いたものとは結婚してあげる」とおふれをだします。
三人兄弟の仕立屋も運をつかもうとお姫さまのもとへ。
お姫さまは「わたしの頭には、二とおりの髪の毛があるの。それはどんな色?」といいます。
上の二人はあてられません。
末のちびの仕立屋は「銀の髪の毛を一本、金の髪の毛を一本」と、ぴったりあててしまいます。
これではあまりにもあっけありません。お姫さまは、下の小屋で一晩過ごすようにいいます。ここにはクマがいて、これまで自分のてのひらの下にきた人間は、だれひとり生かしておいたことはなかったのです。
仕立屋は、心配なんぞなさそうに、ポケットからクルミをいくつかとりだし、からをかみ割って、中の実を食べました。それをみたクマがクルミをほしいというと、ちびの仕立屋がポケットからとりだしたのは石。
クマがいくらかんでも、割れません。もういちどやっても結果はおなじです。
次に仕立屋が上着の下からとりだしたのがヴァイオリン。クマは音楽を聞くとじっとしていられなくて踊りだしました。
クマもヴァイオリンを弾こうとしますが、仕立屋は爪を切らなければと、クマの前足を万力にのせるよういいます。万力で動かせないようにして仕立屋は眠ってしまいます。
クマが痛かったのは、当然です。
翌日、ぴんぴんしているちびの仕立屋をみたお姫さまは文句がいえません。
結婚するため、二人は馬車で教会へ出かけますが、面白くないのは上のふたり。万力を緩め、クマを離してやるとクマは馬車を追いかけます。
ここでちびの仕立屋は、馬車の窓から両足を万力のかたちにしてクマを追い払ってしまいます。
お姫さまのところにでかけるのもほかの昔話では伏線があり、お姫さまのところにやってくる者も多いのですが、この話はきわめてシンプルです。
筋立ても、どこかでみたことのある組み立てです。