グリムの昔話2/フェリックス・ホフマン:編・画 大塚勇三・訳/福音館文庫/2002年
アラビアンナイト「アリババと四十人の盗賊」の前段部分のみの話です。
一人は金持ち、一人は貧乏な兄弟がいて、穀物をあきなっていた貧乏な男が山のなかで、でくわしたのが荒っぽうそうな男12人。
木の上にのぼってようすをみていると、男たちが「ゼムジの山よ、ゼムジの山よ、開け!」というと、山の真ん中が左右にわかれて、ぽっかり口が開き12人はそのなかへ。
12人が背中に重たい荷物をかついででてきて「ゼムジの山よ、ゼムジの山よ、閉じよ!」というと、山の入り口はふさがってしまいます。
貧乏な男が盗賊たちの真似をすると、同じように入り口が開き、なかには金や銀がぎっしりつまり、真珠や宝石などが山のようにつまれていました。男は金貨だけをもって家に帰ります。
金持ちの男も山に出かけますが、入り口を閉じるまじないをわすれてしまい、盗賊たちにみつかって命を落としてしまいます。
「開けゴマ!」というフレーズは、何十年たっても記憶にのこっています。
グリムの昔話は、ドイツの昔話がもとになっていると思っていたら、アラビアンナイトのなかのものもあってびっくり。
「アリババ」はアラビアンナイトの原本になく、1710年ごろ発行されたものにはじめてみられるといいます。グリムの昔話の初版は1812年といいますから、ほぼ100年前。
前段部分だけでは物足りないと思うのは、アラビアンナイトのほうに親しんでいるからでしょうか。