どんぴんからりん

昔話、絵本、創作は主に短編の内容を紹介しています。やればやるほど森に迷い込む感じです。(2012.10から)

森の中の三人の小人

2020年03月22日 | グリム

      グリムの昔話2/フェリックス・ホフマン:編・画 大塚勇三・訳/福音館文庫/2002年

 

 出だしは、12月頃の定番の昔話「十二のつきのおくりもの」のシチュエーション。 

 「十二のつきのおくりもの」は、ままむすめが、冬の日にスミレをつんでくるようにいわれ、森のなかで、十二のつきの精にあい、三月の精に助けられスミレを手に入れます。

 次にはイチゴ、リンゴが欲しいといわれ、六月、九月の精に助けられ、おのおのを手に入れるという物語。

 この話では十二の月の精のかわりに、三人の小人がままむすめを助けます。冬のある日、継母からイチゴをとってくるようにいわれ、森の中で三人の小人に会い、イチゴを手に入れます。それだけでなく、日ごとに美しく、一言いうたびに口から金貨がこぼれ、さらに王さまの妃になるという贈り物まで。

 継母の娘は、日ごとにいやらしく、一言いうたびに口からヒキガエルがとびだし、不幸せな死に方をするという贈り物。

 二人の娘が森にでかけるとき、ままむすめは紙の服、もう一方は毛皮の暖かそうな服。

 ままむすめは、王さまの妃になりますが、継母と娘に川に放り込まれ、娘はお妃のベッドに入り込みます。母親は娘と王さまが会話しないように策略しますが、王さまが話しかけ、偽のお妃が返事するたびにヒキガエルがとびだすので、疑問をもちます。

 その晩、料理番のところへカモが一羽やってきます。カモはお妃の姿になって、生まれていた男の子に二晩お乳をのませます。三晩めにカモは、お妃の姿で王さまの前にあらわれます。

 「ほかのものをベッドからひきずりだし、水に放り込むような人間は、どうしてやったらよいものかな?」と王さまが聞くと、継母は「そんな悪党は、くぎをどっさりうちこんだ樽につめ、山の上からころがして、川にころがりこんでやるにかぎります。」とこたえます。

 すると継母と娘は自分の裁いた通りに!

 ほかの昔話にもあるシチェエーションが組み合わされていますが、出だしで親の再婚にいたる経緯が詳しいのが特徴でしょうか。


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