アレッポのキャットマン/アイリーン・レイサム カリーム・シャムシ・パシャ・著 清水裕子・絵 安田菜津紀・訳/あかね書房/2021年
シリアのアレッポで猫の保護活動をはじめた救急車の運転手アラーの実話です。
シリアというと、長く続く内戦とそこから逃げのびる人々がすぐに思い浮かびます。アレッポはシリア最大の都市ですが、そこで見捨てられた猫たちのために、なけなしのお金で新鮮な肉を買い求め水を運び、街に残っていた人々の協力や、ほかの国の寄付もあつめ、「ねこの家 エルネスト」を作ります。やがて街からにげなければならなくなった人たちは、自分たちの猫をつれてきました。
エルネストには、たくさんのお金が集まり、ほかの動物たちも、助けられるようになり、子どもたちの公園を作ったアラー。
戦争が始まる前の活気に満ちた市場と、その市場ががれきの山になっている風景があり、松葉杖をついていたり、包帯を巻いていたりしながらも笑顔の子どもたちがいます。
内戦というと悲惨なことしか浮かばなかったのですが、こんななかにも日常の生活があり逞しく生きている人々がいます。