おとなりの だれかさん/カーシャ・デニセヴィッチ・作 おがわ ひとみ・訳/評論社/2024年
新しい住所のマンションに引っ越ししてきた少女。五階建ての二階。とうとう自分の部屋もあります。少女は、ふと、おとなりさんがなにをしているか想像をめぐらします。部屋の上、下、壁の向こう。
お隣さんはどんな人たち、なにをしているのかしら。もしも お隣さんは建物だけだったり、なんにもなかったりして。
朝、少女がドアを開けると、そこには、同じ学校にかようお友達が・・・。
原著は2020年の出版ですが、はじめからおわりまで黒白のモノトーン。色がついているのは少女の服の赤、お友達の黄色の服、文字の一部。そして町には、黄色の葉の木だけ。ただ、黒白の濃淡が微妙に変化していきます。
ビルの正面をえがいた断面図が二枚続いているのですが、部屋のおばあさんがカメになっていたり、階段を歩いている人が、次のページでは鳥?になってすべりおちていたり、部屋干ししている人が、ねこになっていたりと、このちがいを見ていくだけでも楽しい。これは少女の幻想?
引っ越しで体験する、新しい土地でのちょっぴり不安な気持ちと、新しい出会いへのドキドキ感が色の濃淡であらわれています。