どんぴんからりん

昔話、絵本、創作は主に短編の内容を紹介しています。やればやるほど森に迷い込む感じです。(2012.10から)

しゅとめとよめさん・・福井

2022年12月28日 | 昔話(北信越)

          福井のむかし話/福井のむかし話研究会編/日本標準/1977年

 

・よめのちえ

 息子のよめさんをいじめてやろうと考えていたしゅうとめ。

 ある日、ご飯のおかずに、魚の頭を出すと、よめさんはにこにこ笑って「お頭さまをくださるなんて、ご先祖さまにもうしわけないわの」と、うまそうに骨までなめた。

 これは失敗したと、しゅうとめが、つぎに魚のしっぽを よめさんにやると、またにこにこ笑って「尾さま(王様)を、くださるなんて、ご先祖さまにもうしわけないわの」と、よめさんは、うまそうにたべた。

 しゅうとめが、これではどうだと、魚のまんなかの身のところを出すと、よめさんは、すこしも笑わず、ウンともスンともいわず、しぶしぶ、まずそうに食べた。しゅうとめさんは、これはうまくいったわいと、それからは、ずうーっと、魚のまんなかをだしたので、よめさんは、うまーい身ばかし、くうことができたと。

 

・よめとしゅうとのちえくらべ

 無理難題で、よめをこまらせようと、「風を紙にのせてもってこい」というと、よめさんは、すぐにうちわを一本持って、いじわるいしゅうとの前へさしだす。

 「こんどは、火を紙につつんでもってこい。」と、しゅうとがいうと、よめさんは、ろうそくに火をともしたちょうちんを持って、しゅうとにさしだした。

 「灰で、なわのうてもってこい」といいつけると、よめさんは、わらでなわをのうて、それを火で燃やしましたという。

 このしゅうとは、よめさんにかなわないと思い、自分が悪かったとあやまり、よめさんをだいじにして、なかよくなったとさ。

 

 大家族のなかで苦労してきたよめさんの知恵がいきている話。