福井のむかし話/福井のむかし話研究会編/日本標準/1977年
・よめのちえ
息子のよめさんをいじめてやろうと考えていたしゅうとめ。
ある日、ご飯のおかずに、魚の頭を出すと、よめさんはにこにこ笑って「お頭さまをくださるなんて、ご先祖さまにもうしわけないわの」と、うまそうに骨までなめた。
これは失敗したと、しゅうとめが、つぎに魚のしっぽを よめさんにやると、またにこにこ笑って「尾さま(王様)を、くださるなんて、ご先祖さまにもうしわけないわの」と、よめさんは、うまそうにたべた。
しゅうとめが、これではどうだと、魚のまんなかの身のところを出すと、よめさんは、すこしも笑わず、ウンともスンともいわず、しぶしぶ、まずそうに食べた。しゅうとめさんは、これはうまくいったわいと、それからは、ずうーっと、魚のまんなかをだしたので、よめさんは、うまーい身ばかし、くうことができたと。
・よめとしゅうとのちえくらべ
無理難題で、よめをこまらせようと、「風を紙にのせてもってこい」というと、よめさんは、すぐにうちわを一本持って、いじわるいしゅうとの前へさしだす。
「こんどは、火を紙につつんでもってこい。」と、しゅうとがいうと、よめさんは、ろうそくに火をともしたちょうちんを持って、しゅうとにさしだした。
「灰で、なわのうてもってこい」といいつけると、よめさんは、わらでなわをのうて、それを火で燃やしましたという。
このしゅうとは、よめさんにかなわないと思い、自分が悪かったとあやまり、よめさんをだいじにして、なかよくなったとさ。
大家族のなかで苦労してきたよめさんの知恵がいきている話。