どんぴんからりん

昔話、絵本、創作は主に短編の内容を紹介しています。やればやるほど森に迷い込む感じです。(2012.10から)

びんから だしてごらん

2022年12月19日 | 絵本(外国)

    びんから だしてごらん/デボラ・マルセロ・作 なかがわ ちひろ・訳/光村教育図書/2022年

 

 折り紙風のうさぎのルウェリン?は、怖い、悲しい、うきうき、うれしい、悔しいきもちを、つぎつぎに、瓶に入れ地下室にしまっていました。

 瓶はどんどん増え、ルウェリンの こころは とてもしずかになりました。しかし、地下室がもういっぱいになり、瓶に無理やり押し込むと、とつぜん がっしゃーんと、瓶が粉々に割れて なかみがとびだし、とんでいきました。

 それからというもの ルウェリンは いろんな 気持ちを まぜこぜに 感じるようになりました。うれしいのに ちょっぴりかなしくなったり、しんぱいだけど わくわくしたり。

 こころが ふっわと ひろがり 自分の 気持ちを 隠さなくなりました。その気持ちを感じ取り、ときには だれかに、言葉で伝えました。

 あばれだしそうな気持も、まっすぐに みつめ、ぎゅっと だきしめてから、そらへ はなしてやることが できるように なりました。だからこんどこそ みんなと 気持ちを つうじあわせることが できました。

 

 こころをコントロールできない自分から ある日、いっぺんに、解放される瞬間。解放されると 別の視界がひらけてきます。そうした瞬間が、いつ生まれるかが問題です。

 さまざまな形の瓶に閉じ込められた「気持ち」の表情が、目玉にあらわれています。