人間だって空を飛べる/アメリカ黒人民話集/金関 寿夫・訳/福音館文庫/2002年初版
中学生以上を対象としたお話で、これというものがあまりないように感じていました。
しかし、この話は、背景がわかっている中学生以上にはうなずける話。
酷使され続けられている黒人奴隷が、ある日、自由の地に向かって、空を飛んでいくというもの。
老いた人も、若者も手をつなぎ、輪のようになって、青い空を黒々としたかたまって飛んで行ったという場面が、印象的です。
飛ぶことができなかった奴隷たちが、飛べた人の話を、自分の子どもたちにしてやったという最後にも余韻が残ります。
悪魔をだましたジプシー/太陽の木の枝 ジプシーのむかしばなし/内田莉莎子 訳/福音館文庫/2002年初版
13人の若者が旅に出て、木一本もなく、川も小川もなく、草もはえていない砂漠に迷い込みます。
この砂漠を4日間迷っているうち、大きな岩屋の鉄の門にたどり着きます。
ここには悪魔がすんでいたが、なぜか食べ物とごちそうを提供してくれる。さすがに無償で提供してくれたわけでなく、若者が岩屋をでるとき、一人がとりのこされてしまいます。
若者が砂漠を抜け出そうとするが、また岩屋のそばにでてしまう。またごちそうになるが、帰るときまた一人が岩屋にとりのこされてしまう。
これを13回くりかえし、最後の一人が取り残されそうになったとき、最後の一人は、自分の影を悪魔にみせ、「どうです。こいつをつかまえたら!」という。
悪魔が、この影を捕まえようとするあいだに、若者は、この岩屋から逃げ出します。
この話は、残虐なところがなく安心感がある。そして昔話のパターンを踏まえながらも、他の話にあまり見られない展開がいい。
13人目の若者が影をなくしてしまう最後も、意表をつくおちである。
13人の若者が旅に出て、木一本もなく、川も小川もなく、草もはえていない砂漠に迷い込みます。
この砂漠を4日間迷っているうち、大きな岩屋の鉄の門にたどり着きます。
ここには悪魔がすんでいたが、なぜか食べ物とごちそうを提供してくれる。さすがに無償で提供してくれたわけでなく、若者が岩屋をでるとき、一人がとりのこされてしまいます。
若者が砂漠を抜け出そうとするが、また岩屋のそばにでてしまう。またごちそうになるが、帰るときまた一人が岩屋にとりのこされてしまう。
これを13回くりかえし、最後の一人が取り残されそうになったとき、最後の一人は、自分の影を悪魔にみせ、「どうです。こいつをつかまえたら!」という。
悪魔が、この影を捕まえようとするあいだに、若者は、この岩屋から逃げ出します。
この話は、残虐なところがなく安心感がある。そして昔話のパターンを踏まえながらも、他の話にあまり見られない展開がいい。
13人目の若者が影をなくしてしまう最後も、意表をつくおちである。