マーティンが来るまで待とうよ/人間だって空を飛べる アメリカ黒人民話集/ヴァージニア・ハミルトン 語り・編 金関寿夫 訳/福音館書店/2002年初版
しゃれたタイトル。よくできた短編小説風で、こんな話を少し大きい子どもたちがどんなふうに反応するか興味をもたせる話。
幽霊が出そうな家に泊まり込んだジョン。
すきま風がヒューヒュー入り、こわれた椅子にすわっていると、ジョンの前にしのびよったネコ。
ネコは、真っ赤に燃えている石炭をなめる。
次に猟犬ぐらいでっかいネコがはいってきて、真っ赤な石炭でほほや鼻をパタパタ。
そしていうことには「そろそろ、やるか?」
すると、ふつうのおおきさのネコがいうには
「マーティンが来るまで待とうよ」
さらに、ばけものみたいな、ばかでかいネコが。
ジョンは、こいつがマーティンにちがいないと思う。
このネコ、燃えている石炭で、目ん玉をきれいにそうじし、
「おまえたち、この野郎をどうするつもりだい?」と、ジョンのそばにすわっているネコにいう。
「マーティンが来るまで待とうよ」
マーテインがどんな怪物か興味をもたせておいて、結局は何者かはわからずずまいでおわる結末。
「マーテインが来るまで待とうよ」という2回のセリフが効果的。
読む人、聞く人に自由に想像させる最後が、にくい。女性には語りにくい文章なので、多分男性が語った方がよさがでそう。
でも、この話、不条理劇を思わせる話で、難解か。好みが分かれそう。
他の人があまり語りそうにないと思って覚えてみたのですが・・・・・。