「すばる」と「カルフォルニア星雲」の中間に位置するIC348
いくら星夜を誇る入笠牧場であっても、望遠鏡を構えれば即座にこういう美しい星雲が見えるかというと、残念ながらそうはいかない。星雲はあまりに遠く、その放つ光もあまりに弱い。
まず地球の動きとシンクロする赤道儀を据え、その上に望遠鏡と高感度カメラを取り付ける。露結などを防止する対策をした上で、それらの装置やコンピューターをバックアップするバッテリーも用意し、複雑な配線をしなければならない。すべての準備が順調に終わってようやく、本番待ちとなるわけだが、この間1時間以上を要すだろう。
さて対象の星雲を追尾しながら微弱な光を、長時間露光によって何カットか撮影するわけだが、この間は長く、寒く、加えて睡魔も襲ってくる。そういう苦労の末に撮影された映像は、さらにコンピューター処理され、ようやくこのような美しい天体写真として完成するのだだという。望遠鏡、高感度カメラ、赤道儀、コンピューター、いずれも精度の高い機器に、撮影者の忍耐が要求される。もちろんその前に、知識、技術、経験が求められるのは言うまでもない。前回11月22日の「最高の撮影条件」下でも、かんと氏が一晩に撮影できた星雲や星は、最終的には4点でしかない。
今日を含めて4日、そうやって撮影されたかんと氏入魂の作品を紹介したい。また、氏やTBI氏らの天体写真とUme氏の星景写真をまとめた専用ページも、このブログの中に将来は設けたいと考えている。このような作品が日に日に更新され、忘れられてしまうようでは実にもったいないし、同時にいつでも誰でもそういうページにアクセスすることができれば、「入笠牧場の星夜の実力と魅力」をもっともっと知ってもらう上で、よいPRの役目も果たしてくれるだろうと思う。ゆくゆくは、後に続く人々の作品も紹介できる日がやって来るかも知れないし、それも願っている。
また一方、このような大きな仕掛けや装置に頼らずに、あの暗くて深い、広大な夜空の、無数に散らばる星々や星座を眺めたいという人もいるだろう。そういう人々にももちろんここでは、星々は懇切に語りかけ、問いかけ、存分にもてなしてくれるはずだ。肉眼でも「天の川銀河」を始め多くの星座を見ることができるし、「すばる」や「オリオン星雲」なら、10倍程度の双眼鏡があれば文句ない。
Ume氏が事情により、しばらく写真送稿のできない場所にいるため、さてこのブログどうしたものかと思案中。
一昨日の音楽会で偶然席を隣にしたご夫婦は秋に入笠に来てくれいろいろなことを話した人たちで、ご主人は伊那商工会議所の重鎮。こうした入笠がとりもつ縁にも助けられて、牧場や周囲の自然、そして星夜が守られていくことを期待したい。
強い寒気が来るようだ。冬支度にはまだやり残したことがあり、心配。
山小屋「農協ハウス」の冬季営業に関しましては、11月17日のブログをご覧ください。