入笠牧場その日その時

入笠牧場の花.星.動物

     ’21年「春」(52)

2021年05月07日 | キャンプ場および宿泊施設の案内など

 
 落葉松の芽吹きが日毎に標高を上げてきている。きょうは薄曇りの静まりかえった山の中、遠くから見ればそんな木々の梢の辺りは薄緑の靄のように見え、そこに霧が流れ込む。薄緑と白の靄とが絡むようにしてわずかの間さらに静寂を深めるように留まり、山桜の清楚可憐な花が控えめに色を添える。人の接近を怖れたのか、小鳥の囀りが急を告げるのだが、しかしそれでも、森の中の静穏は少しも変わらない。

 きょうも深い谷を下り、水源に行ってみた。清冽な水がこんこんと湧き出て、快い水音を立てながら谷を流れていく。水は不思議だ。極小になって露天風呂の水漏れを起こすかと思えば、膨大な量の水を湛えて湖を創れば、海ともなる。
 自然の仕組みは知れば知るほどよくできている。その中でも水の循環というのは、傑出していると思わざるを得ない。急峻な山地の多いこの国でも、川から流れる水が切れるということは余程のことがないかぎりなく、普段はそれを当然のこととして見て喜んでいる。毎日眺める山室川の澄んだ水が、どこに、どんなように、どれほど蓄えられているのかと想像することなどできない。
 何よりも、この惑星に水素と酸素の合体がなければ、われわれはもちろん他の生命体も存在しなかったはずで、水が生命を生み出し、育む核心であることは納得できる。そんなことを考えると、水は尊く、貴重で、限りなく有難いのだと再認識する。それに加えて美しく、旨いとも。

 水源の枡で受けた水は少し離れた大型の水槽に一度貯水されるのだが、それをつなぐ水道管の入り口に一昨日ろ過器の代用に金属製のたわしを押し込んで、その効果を試してみた。ところが翌日行ってみたら、たったそれだけのことでも水の流れに大きく影響したらしく、貯水タンクの上部から溢れ出ていた水はすっかり止まっていた。
 その一方、キャンプ場の水場の破裂した水道管からは多量の水が噴き出していて、ただしそれがあの水源の水量としては精一杯だったらしく、他の場所の水道の蛇口からは水が出なくなった。
 水の流れの不思議さを、露天風呂を通じても学ばせてもらう日々、まだこっちの方は解決に至っていないが、キャンプ場の水場は破裂した管の修理をきょう済ませてもらった。

 昨日の好天と、きょうの雨も一役買っているのか牧場内の桜が咲き出した。山桜は葉が生えてから花が咲くとよく言われるが、必ずしもそうばかりではない。数え切れない数の白い小さな花が雪のように、あるいは雨の雫のように見えたりする。
 本日はこの辺で。
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