カリグラフィー

カリグラフィー
水泳、好きな事、好きなもの、こもれび山崎温水プールについて

診察券

2009-04-23 17:42:08 | いろいろ

今日、癌研有明病院でセカンドオピニオンを受診した。
主治医からの紹介状、画像資料をもって、
夫と2人有明に向かった。

1.診断は正しいか?
2.治る可能性、効果的な延命治療があるか?
3.今後どういった方針が望ましいか?
4.余命
5.今後予想される病状の変化
について質問した。

医師は、診断は間違いないと答えた。

ついで、母の体調を尋ねてきた。

私は、変わっていく母の変化を説明した。
退院した頃はまだ、元気だったが
どんどん食欲が落ちていること、
寝ていることが多くなったこと、
痛みは、少なくなってきているようだと答えた。

「お母さんは家のそば5分ぐらいの所を散歩できますか?」
優しいその問いかけに、
「今は、たぶん無理だと思います。」

「だったら、薬の副作用が考えられます。
病気が進行して体調が悪くなっていることも考えられますが、
そろそろ緩和ケアに専念する時期なのかもしれません。」

「でも、薬は1週間も試していません。」

「お母さんは半日以上起きていられますか?
ただソファーに座っているだけでもいいんです。
お話を聞いていると、そのような体力があるとは思えない」
私は、唯寝ていることが多くなったと
説明しただけだと思うが、医師はまるで母の1日を知っているかのようだった。

「TS-1(抗がん剤)は体力がある人に効くといわれています。
TS-1にこだわることは患者いじめになってしまいます。
TS-1の効果は1週間ではでません。でも、副作用は1週間以内にでます。」

「1ヶ月前までは元気だったのに、余命1,2ヶ月ときけば
受け入れられないでしょう。
でも、余命2ヶ月まで自分のことは自分でやり、
やりたいことをやってきたお母さんを誇りに思ってください。」

私はうなずいた。

領収書といっしょに渡された母の名前の書かれた診察券を
「破棄してください」とお願いし、病院を出た。




牡丹

2009-04-21 17:27:08 | いろいろ

母が入院し、不安で、息ができなくって、
駆け込んだ裏のお宅から、見事に咲いた牡丹をいただいた。
母の寝ている部屋は、
上品な桃色の花の、芳しいかおりがしている。

今日、携帯に姉から電話があった。
母に電話したいが、頻繁にかけすぎると不審に思わないかと
心配してる。
私たちは告知を選択したものの、
はっきりした病名は主治医も口にしなかった。
転移や余命について、母は聞こうとしなかった。

ただ、体調だけは日に日に変わっていく。
私は、あれだけ悩んで告知を選択したんだから、
我慢しなくていい。
声を聞きたければ、毎日だって電話すればいいと姉に言った。

泣かなくなった姉が、電話の向こうで声を上げて泣いている。
「強いから!大丈夫だから!」
そう言って電話を切った。

カーラジオの音を掻き消すような大声で泣いた日以来、
私は泣けなくなった。

真実を一番受け入れてないのは、私なのかもしれない。


スピード

2009-04-19 12:13:22 | いろいろ

私の脳は考えることを止めてしまった。
涙もでなくなった。

今起こっていることは、現実で私の身に起きていることなのだろうか?
本当は私が死んでしまっていて、違う世界にいるのではないのか?

母の身体の変化を唯、淡々と受け入れながらも
母がいなくなってしまうことは考えられなくなってしまった。

姉は、母のことだから、このままガンと共存して
生きていくんじゃないかと思うと言った。
現実を受け入れられないと泣いた。

私は、主治医から見せられた画像の真実を
思い出しながら、でも現実は違うんだよと心でつぶき、
客観的に姉の思いを聞いた。

姉が、母に電話をかけてきた。
どこか痛みはあるのかとの問いに、
特にどこもないと答えているようだった。
そして、足のむくみがなくなってきたと姉に言った。

姉の言うとおり母はこのまま生きていくかもしれない。
母は強い人だもの。私もそう思った。

主治医に母は痛みを我慢しているのかと
尋ねると感じていないのでしょうと言ってたことを思い出した。

だが、翌日少し右脇腹付近にてを当てるようになった。
どこか痛いのかと尋ねると、何かの拍子で痛いと言った。

退院後、母は元気で私とともに3食の食事をとった。
私がいない間に洗濯物をたたんでくれたり、
私が買い物に出かけている間に毛染めまでしていた。
入院することになると思ったのだろう。

医師からの病状説明が本人と、家族に行われる前日
私は、主治医に連絡した。
なるべくソフトな説明で、希望をもてる言い方で説明して欲しい。
余命を聞かれても、絶対に本当のことは言わないで欲しいとお願いした。

痛みを口にするようになった母を考えると、
本当にこれでいいのか?
逆に変に希望を持たせていいのだろうか?
そうすることで母は我慢を続けてしまうのではないか?
医師との電話を切ってからも私は悩んだ。

医師からの病状説明の日、何かこれから楽しいことでも
始まるような慌しさで家をでた。
前日から、姉は子供たちを連れとまりに来た。
姉ももう泣かなくなっていた。
内緒で、母の弟である千葉の叔父に来てもらった。

わたしたちも初めて説明を受ける。
家族が重く受け止めない。いつも通りの生活をする。
このことを心がけ診察室に母と入った。

主治医は、「結果が出ました。知りたいですか」?
と母に聞く。
母は「がんでしょ。知りたい。」
と答えた。
主治医は、がんという言葉は使わずに
結果が良くなかったこと。
最近はいい薬があり、家でも治療ができると説明した。
母はその説明を聞き入れ、
特に質問をしなかった。
唯、今日は診察しないのかとだけ言った。
主治医は、「さっき診察しましたよ。
さわってどこが痛いのか聞きましたから。」

母が診察室を出て行ったあと
私は、主治医に再び余命と
今の現状を聞いた。
母の身体の変化が、速いスピードで進んでいる。

母の計らいで、出前のお寿司をとった。
母も、いくつか口に運んだ。
いつもと変わらない食卓だった。

そして、千葉の叔父を送りがてら
鎌倉の海を少しドライブした。
母は久しぶりに弟との会話を楽しんでいるようだった。

家に帰ってからしばらくして、母が今までにないような
悲鳴を上げた。
痛みで声も震えてしまっている。
我慢強い母が、思わず声をだしている。
「痛みを我慢したってしょうがないんだよ。
治療はできないんだよ。だから無理しなくていいんだよ
痛みをとってもらうことしかできないんだよ」
心で母に訴えた。

「病院に行こうか?」
きくと、「しばらくすれば治まるから、大丈夫だから」
震える小さな声で答えた。







 


 







 


カーラジオ

2009-04-18 16:29:43 | いろいろ

数日後、姉からメールが届いた。
やっぱり、告知した方がいいと思えてきたと。
そのとき、即座に「告知はしないって決めたじゃない。
負けないから、みんなで力をあわせて頑張ろう」
と返事をした。

私はいろいろな人に、自分だったら、本当のことを知りたいかとたずねた。
あんなに一度は固まったはずの思いが又揺らぎ始めた。

主治医から母への説明があるまでの1週間。
わたしたちは、真実を知りながらもそれを隠さなければならなかった。

母が家にいるため、
家では泣くことすらできないのだ。
辛い気持ちを誰かに聞いてもらいたくても、電話もできない。

私は、再び主治医を尋ねた。
そして、セカンドオピニオンのための書類をそろえて欲しいことと、
告知すべきかどうか悩んでいることを伝えた。


今後、化学療法を始めるとうそを突き通すのが難しいこと。
本人が真実を知りたがっていること。
そして、画像を見せてもらった。
「この肝臓の状態では、高熱がでていてもおかしくはない。
元気なことが奇跡です」と主治医は言った。

悲しいが、認めざるをえないほどの状態だった。
うそは突き通せないと思った。
主治医からは、まずは現実を家族が受け入れることが大切だと言われた。
そして、家族と母への説明がある前日に、告知するかどうかを先生に連絡することにした。

この気持ちのまま家には帰れない。
母の顔を見ることはできない。

私は、友人に連絡をした。
そして、偶然にも話の流れで
母の希望通り、海に散骨ができることを知った。
思いがかなえられるんだ。
そう思ったら、太陽の日に照らされ、輝く海が脳裏に浮かび
私は何かひとつ乗り越えた。

その日、久しぶりに眠ることができる気がした。
人間ってやっぱり強いんだな。
この悲しみも乗り越えられるんだ。

翌日、水泳のレッスンにでた。
気分を変えてみよう。
家にずっといるのも変だ。
体が疲れればよく眠れるかもしれない。

だが違った。
泳ぐと苦しくなってくる。
母はこんなに苦しんで死んでしまうのか?

何かを乗り越えたと思えた私の心は、
またもろい砂山のように壊れてしまった。

カーラジオのついた車の駐車場で私は大声で泣いた。


 


真実

2009-04-17 16:34:51 | いろいろ

あの時、わたしたちは母の希望通りの告知を選択したはずだった。

入院中、食事がまずいと母が言う。
味がない。
私は、はじめふりかけを差し入れした。

ベットの足元には、塩分制限無しにチェックが入っていた。
しかしそれが逆に気になり、家から作ってきたそぼろを
食べさせていいか先生に確認をしてもっらった。

ポテトチップや刺激物以外なら良いと母に伝えた。
私は、おにぎりや旬のタケノコ料理などを作り家から運んだ。

退院の日、スーパーでお寿司を買った。
母は「わさびは刺激物だからやめとかなきゃ」といって
ほんのちょっとのわさびをよけてお寿司を口に運んだ。

あんなに自分が死んだらと、
その後のことを私たちに指示していたはずなのに、
生きたいんだ・・・・・・・。
辞世の句まで入院中につくり、全て終わったらこれで知らせればいい
なんていってたのに。
やっぱり、母も半信半疑なのではないか?

同室の人に嬉しそうに退院の挨拶をする母、
いつも通りの明るさ、
パジャマを着ていること以外、病気とは思えない元気さ

あんなに、一致団結で告知を選択したはずなのに
わたしたちは、事実を告げないと心に誓った。


堂段つつじの白い花

2009-04-17 08:15:35 | いろいろ

「堂段つつじの白い花が咲いてるよ」
母が言った。

最近本当にいい天気で、気持ちよく
世の中に悲しい出来事はないのでは
と思える。

11日もそうだった。
気持ちいい青空。
精一杯の深呼吸をしたくなるほどの爽快感。
こんな気持ちのいい日に、何かあるとは思えない。
不安を打ち消すようなお天気だった。

家族への説明が主治医よりある。
東京から子供たちを連れ姉が出てきた。

病室を見舞った姉は、
いつものように明るく冗談を飛ばす母の元気な姿を見て
安心したようだった。

その様子を見ていると私だけが取り越し苦労をして、
悲しんでるだけに思えてきた。

何もなかったような家族団らんのひと時だった。

その後わたしたち家族は、医師からの説明を受けた。
「ご覧の通りお母さんはあんなにお元気で、
信じられないかもしれませんがおなかのなかはひどい状況で・・・」

私は、医師の説明をメモした。
「今は何もすることができない」との説明に、
だったらすぐに退院させたいことと、
セカンドオピニオンを受けたいことを医師に伝えた。
そして本人の希望通り告知する思いでいると返事をした。


生検の結果が来週にならないとわからないため、
今は病院にいても特別することがない。
退院してもいいと説明を受けたと私たちは母に告げた。

そして、医師から来週の土曜日に検査結果と家族への説明があるので
病院へこられますかといわれ母はうなづいた。


花桃のころ

2009-04-15 07:39:25 | いろいろ

6日の月曜に、母が病院に行った。

私が、母の異変に気づいたのは情けないことに
その2.3日前だった
ちょっと前までは、歩くのだって私より速いくらいだった。
それなのに階段を登る足音がおかしい。
息切れもしている。

なんとなく、母には聞きにくく夫に様子を聞いてもらった。
足がむくんでいるという。
息切れもするようだ。

病院へ行くようすすめると、父の心臓の検査入院が
6日の月曜なので、そのときに一緒にいくという。

ついていくとは言えず、家で連絡を待った。
そのまま入院することになったと電話がかかってきた。

入院して3日目だっただろうか。
胃の内視鏡検査のをしたらしい。
「どうだった?」
ときくと「ガンになってた。自分で見てわかった。
先生もガンだと言った」
という。

私は、そのままナースステーションに行って母がこういっているんですが
本当なのか尋ねた。
先生はそんなこと言ってないし、まだ検査の結果がでていないので
来週家族を呼んで説明すると言う。

私は、いったいどんな検査をしているのか?
看護婦さんが母に何をきいているのか注意深く様子を見た。

「気持ち悪かくないか?」「胃が重い感じがするか?」などを尋ねている。
母は、おなかをさわりこれがそうなんじゃないかと思うと私に言っていた。
でも、看護婦さんはおなかをさわり「柔かいから大丈夫ですね」とも言っている。

しかし、胃の内視鏡検査の前に肝臓の検査もやっている。

胃から肝臓に転移。
つまり初期ではないということか。

母は、先生に余命を含めて本当のことを言って欲しいと言ったという。
そして私にも、そう言った。
みんな歳を取ってわざわざ出てくるのも大変だし、宿の手配も大変だから
親戚には知らせなくていい。
海に散骨してくれればいいと言う。
そうすれば、お彼岸だお盆だからといってお墓前リもしなくてすむから。


カリグラフィー 花模様のふち飾り

2009-04-05 22:57:52 | カリグラフィー

トリミング、ふちどり、ボーダーデザイン。
カリグラフィーの作品を、
おめかしさせます。

1.まずは外枠をつくります。
 続いてその内側にも枠をつくります。

2.なみなみのつるを、右枠、左枠と交互ににぶつかるように書きます。

3.さらにカーブの頂点から、半円のなみなみを書き足します。

4.つるにもう1本線を足し、太くします。

5.つるにギザギザや丸いかたちを付け加えます。

6.半円状に空いたスペースにお花を入れます。


7.色をつけます。


3角消しゴム、いただきました。
尖ったところで細かいところを、面の部分では広範囲を消します。



下書きが出来上がりました。




作品用紙に図案を転写します。




一番明るい色で色付けします。




2色めを重ね塗りしています。




つると葉を塗りました。




ハイライトやドットを入れて完成です。

あぁー。
まだカリグラフィーで文字を入れてませんね。

後日アップします。