「堂段つつじの白い花が咲いてるよ」
母が言った。
最近本当にいい天気で、気持ちよく
世の中に悲しい出来事はないのでは
と思える。
11日もそうだった。
気持ちいい青空。
精一杯の深呼吸をしたくなるほどの爽快感。
こんな気持ちのいい日に、何かあるとは思えない。
不安を打ち消すようなお天気だった。
家族への説明が主治医よりある。
東京から子供たちを連れ姉が出てきた。
病室を見舞った姉は、
いつものように明るく冗談を飛ばす母の元気な姿を見て
安心したようだった。
その様子を見ていると私だけが取り越し苦労をして、
悲しんでるだけに思えてきた。
何もなかったような家族団らんのひと時だった。
その後わたしたち家族は、医師からの説明を受けた。
「ご覧の通りお母さんはあんなにお元気で、
信じられないかもしれませんがおなかのなかはひどい状況で・・・」
私は、医師の説明をメモした。
「今は何もすることができない」との説明に、
だったらすぐに退院させたいことと、
セカンドオピニオンを受けたいことを医師に伝えた。
そして本人の希望通り告知する思いでいると返事をした。
生検の結果が来週にならないとわからないため、
今は病院にいても特別することがない。
退院してもいいと説明を受けたと私たちは母に告げた。
そして、医師から来週の土曜日に検査結果と家族への説明があるので
病院へこられますかといわれ母はうなづいた。