駅まで迎えに来てくれた夫に、
車中で主治医の話を聞いた。
母の血液検査の結果は最悪で、
全身に転移して体力が弱っている可能性があると聞かされた。
私は、ここ数ヶ月毎回、病院に行くたびに
心の準備をしておくように主治医に言われていた。
そして、医療的なケアは病院のほうができるかもしれないが、
メンタル面では自宅の方が良いと思うし、そのほうが長生きできると思う。
自宅で看取る覚悟をする時期だと忠告をされた。
母の病気がわかり、治療がないと言われたとき
「だったら今すぐうちにつれて帰ります。」
と言い、1秒でも早く母を家に連れて帰った。
あの時は、あんなに強く絶対頑張ってみせる
と思ったのに、最近の私は泣いてばかりになってしまった。
自宅で母に気持ちよく過ごしてもらおうと、
私と夫は、庭の手入れを始めた。
そして、花を植え母が目で楽しめるよう、
季節を感じられるよう庭仕事に休日を費やした。
あの頃植えた、ペチュニアがだんだん弱ってきたので
私は、切り戻しをした。
しばらくは花も咲かず寂しかったが、
新芽が出てきてまた元気に花を次々咲かせた。
母はその花たちを見て、
窓辺で立ち上がり、
「よく頑張ったね!」
と手を叩いて褒めていた。
それも、1ヵ月半くらい前のことだったのだろうか?
今では、ベットに寝たまま
新しく植えたトルコ桔梗をみて
「きれいだね」と小さくつぶやくだけだ。