布屋忠次郎日記

布屋忠次郎こと坂井信生の日記

ソバ屋で憩う

2005-12-16 00:08:13 | 読書
杉浦日向子とソ連 編著
発行 ビー・エヌ・エヌ
1997年10月31日 第一刷

今年読んだ本。

編著の「ソ連」とは「ソバ好き連」のこと。
前書きによると、この本は「グルメ本ではありません。おとなの憩いを提案する本です。」ということで、通ぶる人、食欲優先の人、デートや接待に使えるスポットを探している人はお断りしてしまっている。ただ「やすらぐ場」としてのソバ屋を見つけるための本。
あとがきでは、ソバ好きを名乗る人を、うまいソバのためなら努力を惜しまない「求道者型」と、「食後に、湯上りのようなリラクゼーションを堪能する悦楽主義者型」のふたつに分類し、本書の編著者は後者であり、この本も後者であろうとしている。だからソ連とは「ソバ屋好き連」なのかもしれないと。
つまり、「食事」をメインとしてソバ屋を紹介しているのではなく、店という「空間」、その空間のもっとも重要な要素としての「客あしらい」のよい店というのが基準になっているらしい。
悦楽主義者型のソバ好きにとって、ソバ屋は食事をするところではない。スペイン人だかイタリア人だかは昼飯に2時間くらいかけると聞いたことがあるけど、そういうノリでゆっくり時間を楽しむところだ。「ゆっくりできないような混む時間帯を避け、午後2時から4時くらいに「一人でぶらりと入ってゆっくり酒をいただけるソバ屋」こそが、憩えるソバ屋ということだ。

杉浦をはじめソ連メンバーによってソバ屋が紹介されているが、目に付いたものをメモしておく。
まずは東京・大森の「布恒更科」。正直「布恒」というのは初めて聞いた。永坂更科の「布屋太兵衛」の関係かと思ってネットで調べるとそのとおりだった。またひとつ、今も生きている「布屋」を見つけてうれしい。一度お邪魔したい。ただしこの店は「憩う」の大敵の「中休み」がある。夕食時の仕込みのためか、14:40~17:00は準備中になってしまう。

千葉県民としては、千葉駅から徒歩5分にある「おか村」という店が紹介されているので行ってみたいところ。なんでも千葉には、江戸前のソバとも田舎ソバとも違う独自の文化圏が形成されていて、その元締め的な店なのだそうだ。「メニューも質実剛健。酒のつまみ系のものはなく、おせいろ、田舎、さらしなに各種変わりソバ、種ものなどソバ類のみだが、どれもしみじみとうまく、ソバ湯ともども十分酒のあてになる。」とのこと。11時~18時で中休みなしだが、売り切れじまいだそうだ。

店の紹介もさながら、ソ連による座談会が2編はいっていて、勉強になる。


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