令和5年1月6日
生徒が主体 校則の見直し加速
県教委、教職員に先進事例周知へ
岡山県内の学校現場で校則の見直しに向けた動きが加速している。
文部科学省が昨年12月に公表した教員用手引書「生徒指導提要」の改訂版で、
子どもの意見を踏まえて不合理なルールを是正するよう求めたことが背景にある。
県教委も先進事例の調査を進め、研修を通じて教職員らに周知する予定で、児童生徒が主体となった取り組みを後押しする方針だ。
自ら課題解決
生徒指導提要の改訂版では校則見直しに関する記述を大幅に拡充。
学校の状況や社会の変化を踏まえ「意義を適切に説明できない」校則の是正を求め、見直し作業には児童生徒の参加を促した。
学校のルールを無批判に受け入れず、課題を自ら解決する教育的意義があるとも説いている。
津山市立勝北中(同市原)は生徒会が中心となって制服の着用ルールを話し合い、気候に応じて長袖・半袖を選べるように変更。
同市立久米中(同市南方中)は防寒具を使いやすくするため校則の緩和に踏み切った。
津山市内では提要改訂を受けた市教委の呼びかけもあって、両中を含む市立全8中で安全性や健康面、
性の多様性などに関して配慮を欠く校則を積極的に見直しているという。
「各校には校則の変更自体が目的ではなく、児童生徒が主体的に取り組むことを大切にしてもらっている」。
津山市教委の担当者が力を込める。
勝北中学校の制服改定
津山市立勝北中学校の制服が変わります。 - 安東伸昭ブログ (goo.ne.jp)
責任感育む機会
そもそも不合理な校則が社会問題化したのは2017年。
大阪府の女子高校生が地毛の黒染めを強要されたとして府に損害賠償を求める訴えを起こしたことがきっかけだ。
県内ではこれを踏まえ、早くから生徒主体で校則の見直しに取り組んだ学校もある。
興陽高(岡山市南区藤田)がその一つ。
生徒の約半数が卒業後に就職するため、髪形や服装について「採用試験にそのまま臨めるかどうか」を基準にしようと、
県内企業にアンケートを行った上で見直し内容を検討した。
瀬戸内市立邑久中(同市邑久町山手)では頭髪に関する見直し案の賛否を全校生徒の投票で決めた。
県教委はこうした先進事例を学校訪問などで集め、5月にも教職員や市町村教委の担当者を対象にした研修会を開く。
県教委人権教育・生徒指導課は「ルールを考える主体性や規則を守る責任感を育む機会となるよう進めたい」としている。