桑名市内を走る路線バス会社に八風バスという会社があります。三重交通の子会社で、三重交通桑名営業所の隣に本社があります。
三重交通の桑名地区の一部業務の委託先のための分社子会社かと長年思っていましたが、設立は1952年で三重交通の傘下に入ったのは1958年と分社子会社ではありません。
ここからは名阪近鉄バスの歴史を調べた時に判明したことですが、1958年に名阪近鉄バス(当時は名古屋近鉄バス)が八風バスの株式を三重交通に譲渡しています。
この譲渡の経緯は、かなり複雑で、名古屋近鉄バスの社史によると大垣名古屋間の路線バス免許取得の調整のため譲渡されたとのことです。社史にもすべて記載されているわけではないので、このあたりの三重交通の思惑は良く分かりません。
この八風バスが、どのようにして設立され、どのようにして近鉄バスの傘下に入ったのかは社史には記載されていません。
近鉄バスは国道258線経由で、大垣桑名間に路線バスを走らせていました。1990年代には岐阜三重県境まで路線になっており、現在は大垣市内のみ路線が残っています(高須方面の路線が国道を経由しているため)。
近鉄バス(当時は大垣自動車)は養老線の前進の養老電鉄(伊勢電の参宮急行電鉄合併の時に養老線を担当する会社として設立された)の子会社だった時期があり、自社鉄道に並走する路線は、三重県内も三重交通ではなく子会社の大垣自動車が路線を取得したのではないかと推定しています。
このように桑名地区にも近鉄バスが路線を持っていたため、その関連ではないかと推定しています。桑名地区の拠点として近鉄バスが子会社として設立したのか、それとも独立系のバス会社を買収したのかどちらかは良く分かりません。
現在の名阪近鉄バス社内にも、八風バス設立の経緯を知る人はおらず、調べてみても良く分かりませんでした。
八風バスが名阪近鉄バス桑名営業所になっていたら、旧多度町内や桑名市北部の団地路線は名阪近鉄バスが運行していたかもしれません。
さて、現在の八風バスは桑名市内の路線を中心に現在も運行しており、三重交通桑名営業所の一部路線の受託運行も行っているようです。
撮影 2007年6月3日