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nishimino

にしみの鉄道情報局付属ブログ

ミステリー列車が消えたの突っ込み所

2009-10-08 | 書評
400人の乗客が乗ったミステリー列車が突如として消え、国鉄には10億円の身代金の要求がされる。西村京太郎のミステリー列車が消えたは、こんな始まり方をします。

400人の乗客を乗せたミステリー列車は、東京駅を出発して、本来なら京都に向かい、京都から山陰線で鳥取、さらに因美線から津山線で岡山に抜けて東京に戻るというルートです。ところが鳥取には定刻を過ぎても到着せず、その頃国鉄本社に10億円の身代金の要求の要求がなされるという。
京都では梅小路機関区を見学するのですが、そこにはミステリー列車の乗客と思われる見学者が多数訪れており、これも1つのポイントです。

実際に12両編成のミステリー列車が、国鉄の線路上消失するというのは、鉄道に詳しい人間の視点から見るとかなり無理がある設定です。実際には大垣と米原にある新垂井駅で、乗客を降ろし向日町運転所(現京都総合運転所)に入庫させ、しばらく事件の発覚を避けると言うものですが、これは相当な無理があります。
京都駅の助役の対応(列車が到着していないのにもかかわらず、勝手に予定変更と思いこむ)もかなり問題なのですが、山陰線にはいるため機関車を交換しますし、山陰線を担当する乗務員や運転指令がおかしいと気づくはずです。

犯人グループには元国鉄職員が多数いて、車掌と機関士もいるのですが、これだけでいかにして、向日町運転所に入庫させるのが疑問なんです。
犯人が一度も登場しないため、誘拐の詳細が語れることはないのですが、おそらく名古屋あたりで、車掌や運転手などの乗務員を拘束して、列車を乗っ取り、新垂井に停車させ乗客を降ろすと言うところまでは、可能だと思います。そこからいかにして、向日町に至るのか、ここが最大の疑問です。

向日町に至る前には、前述の京都駅があり、この駅をミステリー列車は停車もしくは通過したはずなので、その時点で京都駅の関係者は気づくのは当然ですし、本来山陰線に入る列車が、東海道線をそのまま進み、向日町運転所にはいるのは列車側では不可能で、信号係や運転指令に協力者が居ないと相当難しいのではないかと思います。

また、書かれた当時は国鉄だったのであまり関係ないのですが、JR化後は米原が会社の境界駅になったため、旅客列車は米原で必ず乗務員交代を行います。そのため、現在では新垂井で乗客を降ろして、向日町に列車を入れるというのは現状では難しいのではと思います。ただ、当時の優等列車の乗務は名古屋大阪間の通し乗務があったので、この設定もあり得るかもしれません。

今なら、名古屋で列車を乗っ取り、新垂井で乗客と拘束した乗務員を降ろし、空の客車を発車させる。米原では犯人が本当の機関士の振りをして、JR西日本の運転手に引き継ぎ、京都に到着時には客車からは乗客が忽然と姿を消しているという、いわゆるメアリー・セレスト号状態が妥当ではないかと思います。

ところで、本来の予定ならミステリー列車は鳥取から、因美線津山線で岡山に抜ける予定ですが、因美線津山線は12両編成のブルートレインが走れるだけの線路なのか、有効長を含めて大いに疑問なんですが。

鉄が地球温暖化を救う

2009-09-17 | 書評
海に鉄を撒くことによって、二酸化炭素の増加を抑えること出来て、地球温暖化を防げるという。そんな夢のような話を取り上げたのが、この畠山重篤著「鉄が地球温暖化を防ぐ」文芸春秋社刊です。

著者の畠山氏は、宮城県の気仙沼で長年カキやホタテの養殖をしており、海の豊かさその海に注ぎ込む川の上流にあるといっている人です。かって気仙沼湾では、赤潮が発生し、カキ養殖が全滅したことがあり、それ以来、上流部の森林保全に力を注ぐようになったそうです。また、海の海藻類や植物プランクトンなどによる二酸化炭素の吸収は、陸上の森林の吸収量を上回るといわれています。これを有効に活用できれば、極端に言えば地球温暖化は解決できるといっています。

その前に生物にとって、鉄などのミネラル分は無くてはならない成分です。よく鉄分が不足すると貧血気味になるといわれますが、それは人間以外の生物にとっても同じで、鉄分の少ない海水に、鉄イオンを添加すると植物プランクトンが増殖するこが確認されています。船が沈んでいるところでは、船の鉄が溶け出し、プランクトン類などの影響もあり魚が多い漁場になっているそうです。同様に、鉄道の鉄橋の下では大きなシジミが取れるといわれています。

山口県宇部市では実際にこれを実践されている方が居て、鉄粉に竹炭を混ぜて固めたものを、海中や河川に置いたところ、水質の向上がいたるところで見られ、海では明らかな漁獲量の向上が見られたそうです。

鉄を海に撒くことによって、海藻類や植物性プランクトンが増えれば、二酸化炭素吸収が増え、有力な地球温暖化対策の一つになるかもしれません。

黒い手帳

2009-08-17 | 書評
公明党元委員長矢野絢也氏が書いた二冊の本、『「黒い手帳」裁判全記録』、『黒い手帳 創価学会「日本占領計画」の全記録』が手元にあります。

一冊目の本は公明党委員長であった同氏が、衆議院議員時代の詳細な記録を書いた手帳を創価学会関係者にトラブルの末奪われ、その結果同氏は創価学会を脱会し学会を訴え、その裁判の記録を書いたものです。この手帳、かの言論妨害事件の顛末や数々の政界工作の詳細が書かれていて、表に出ると問題になることも書かれています。

二冊目の方は、その内容も含んでいますが、創価学会と公明党が以下に密接に関わっているか、またその違法行為について暴露しています。以前から週刊誌などでは取り上げられることがある話題ですが、身内とも言える公明党元委員長が書いた本なので、とんでもない破壊力があります。あまり詳細を書くとまずい面もあるのですが、その一部のだけを紹介しておきます。

創価学会は現在かなりの金権体質と言われ、それもあってフランスではカルト宗教に分類されています。その一端が同氏から見てもあり、昔の創価学会はこんな団体ではなかったと述べています。
また創価学会施設を選挙運動に使うなど宗教法人法に違反する行為や、公明党議員が学会に寄付するなど政治資金規正法に明らかに違反する行為などが行われているとも書かれています。

さて公明党は1999年から自民党と連立政権を組んで、与党の立場になっています。これ以降、自民党は完全な創価学会票依存体質になっています。小選挙区制になって、与党と野党の支持層が拮抗している場合、学会票は選挙の動向を決めるほど重要なポジションになっているようです。
もっとも創価学会と公明党がおそれていることが、実は証人喚問だと言うことで、国会の証人喚問の決定が全会一致から多数決に変わって以来、公明党は与党であり続ける必要があったとも述べています。

その自民党ですが、かなりの重度の創価学会依存症になっていて、この事が自民党の基礎票をさらに減らすことにつながっているようです。自民党候補の選挙運動に創価学会関係者が関わり、創価学会公明党の要求をのみすぎたり、比例票は公明党へと言うと、旧来からの自民党支持者が自民党から離れていく面があります。これによって自民党の基礎票がどんどん減っているようです。こうなってくると、学会票があっても自民党は苦しくなるとも言えます。
また従来創価学会は公明党を通じて政権に影響力を与えていましたが、自民党の候補を直接応援するようになると、学会が政権に対して直接影響力を行使できることになります。つまり学会直営の政治が出来るわけです。
すでに合法的に日本占領計画が実現しているとも言えます。

公明党は創価学会の傀儡でしかなくなり、自民党は公明党と組んで、庇を貸して母屋を取られかねない状況になっています。

続・民主党の政策

2009-08-06 | 書評
前回紹介しきれなかった「民主党が約束する99の政策で日本はどう変わるか?」(神保哲生著 ダイヤモンド社刊)に載っている、民主党の気になる政策を補足的にいくつか紹介したいと思います。

民主党は永住外国人に地方参政権を与えるとしています。永住外国人への地方参政権の問題は二重国籍と、朝鮮台湾出身で太平洋戦争以前に日本に移住し、敗戦によって日本国籍を失った人と、その子孫である特別永住者の問題とも関連してきます。これはかっての日本の植民地支配を評価するかと関連してきますが、特別永住者の場合は帰化が比較的容易なため、参政権がほしければ帰化すべきという意見もあります。
また1984年以降、日本では二重国籍が認められなくなったため、参政権を得るために帰化すれば、元の国籍を放棄しなければなりません。二重国籍を認めている国は、永住外国人への地方参政権を認めていない傾向があり、どちらが良いのか評価が分かれるところです。
永住外国人も日本人と同じ条件で税金を払っているため、公平性の面からも何らかの参政権を与えるべきという考え方をしています。

日米関係は自民党政権と同じく同盟関係維持ですが、あくまでも対等な日米関係を主張しています。今までのようにアメリカの言うがままに追随するのは同盟とは言えないとしています。同盟関係は維持しながら、アメリカ一辺倒の外交を行うのではなく、独自の外交路線を行うとしています。なお、対北朝鮮政策や対ロシア北方領土政策などの外交課題については、自民党の政策と差は有りません。

戦没者の国立追悼施設を造ることを、民主党は公約としています。靖国神社の存在意義の問題も出てきますが、靖国神社にはA級戦犯の問題を除いても致命的な問題があります。それは民間人や敵側の戦死者を追悼していないという問題があり、戦没者墓地としては不完全と言える面があります。
戊辰戦争の戦死者戦没者を祀ったのが靖国神社の始まりですが、祀られたのは新政府の側だけで、旧幕府側(会津藩や函館戦争などを含む)の戦死者戦没者が祀られてません。明治維新以前の日本の歴史上では、敵味方関係なく戦死者を丁重に葬るという考え方が有り、A級戦犯云々よりむしろこちらの方が問題ではないかと思えます。
また靖国神社に祀られるのが、日本国籍を有する軍属及び公務者の戦没者に限られるため(沖縄戦、東京大空襲、広島長崎の原爆などの犠牲者のうち純粋な民間人の犠牲者が含まれない)、戦没者追悼施設としては不完全な面もあると思われます。
無宗教の追悼施設でない事も含めて、外国からの賓客が花束を捧げる戦没者墓地が無いことが日本の外交上の大きなハンディになっていると民主党は主張しています。第二次世界大戦で身元不明の遺骨を安置した千鳥ケ淵戦没者墓苑を拡張して、ここをアーリントン国立墓地のような施設にすることを検討しているようです。

補足として政治思想的にデリケートな面を、いくつか紹介しましたが、これらの政策は必ずしも、与野党とも党内で一致しているとは言えない政策で、現状ではあまり重要政策ではないかもしれませんが、長期的に見ると重要政策ではないかと思います。これらは、憲法問題や集団的自衛権の行使を含めて民主党という党の考え方に注目する必要があると思います。

民主党の政策

2009-08-03 | 書評
民主党研究の三冊目、「民主党が約束する99の政策で日本はどう変わるか?」です。ここには先日概要が発表された、民主党のマニフェストの内容を筆者なりに、実現の容易度と課題を評価している本です。筆者はジャーナリストの神保哲生氏で、ダイヤモンド社刊です。

民主党の政策と自民党の政策が影響し有って、似てきている面もありますが、気になった施策をいくつか。

一つ目は子育て教育関係で、子育てでは、子供一人あたり2万6000円の子供手当の支給や、保育の充実があります。これらは従来の政策からは大きく飛躍している点です。あと幼稚園と保育園の一元化も提案しています。幼稚園は文部科学省、保育園は厚生労働省の所管で、監督官庁が違うため一元化が難しかったようです。

教育に関する予算も大幅するとしています。日本のGDPに占める公的教育予算の割合は3.4パーセントと他の先進国(OEDC加盟30ヶ国の平均は5パーセント)に比べて極端に低く、他の先進国に比べて明らかに見劣りしています。学力の低下が問題になっていますが、この少ない予算で今までよく教育を維持できていたと言えるかもしれません。
高校の無料化も政策の1つに挙げられています。高校の無料化は先進国では常識で、日本が批准している子どもの権利条約では高校と大学を段階的に無料にすることを要求しています。同じく批准している国際人権規約も同様に、高校の無料化を要求していますが、日本はこれまで保留してきていました。

民主党は中小企業振興も打ち出しています。まず中小企業の法人税率の引き下げを公約にしています。また中小企業金融の充実も打ち出しています。
これらの中小企業対策とは対照的なのが、大企業の法人税率で、当面は維持するとしています。日本の法人税率は高いと言われていますが、相対的に保険料や年金負担が少なく、税負担については一概には言えない面があります。

農業政策にも注目点があって、農家への個別所得保障制度の導入を公約に掲げています。自国の農業の競争力を保つためには、多額の補助金が必要なのは先進国では常識となっているようです。
民主党がこの政策を打ち出したことによって、2007年の参議院選挙では農村部の自民党票が根こそぎ民主党に流れたとも言われています。


司法法務関係では、取り調べの可視化と代用監獄制度の廃止が有ります。取り調べの可視化は取り調べのすべての録画録音です。これによってえん罪被害を防げると言われています。
もう一つの重要な項目が代用監獄制度の廃止で、被疑者を取り調べる際に、警察の留置所に留置できる制度です。本来なら法務省の管理下にある拘置所に置かれて、取り調べの際に警察に移動し、取り調べが終了したら警察から、拘置所などの刑事施設に戻すのが本来の形となっています。しかし日本の場合は、警察の留置所に取り調べの最中は留置出来ることになっています。これは自白の強制などの人権侵害が起きるおそれがあるとされています。
この制度は、国際的にも厳しい非難を浴びていて、民主党はこれを見直すことを公約にしています。

共謀罪についても触れていて、共謀罪を新設しなくても国際犯罪防止条約の批准は可能としています。条約では「国内法の基本原則に基づいて必要な処置をとる」としか書かれておらず、共謀罪の新設を求めていないという解釈も成り立つとしてます。条約が定める重大犯罪は、ほとんどが予備罪や、準備罪、幇助罪、共謀共同正犯など現行法で定められていると主張しています。そのため同条約の批准は現行法で十分対応できるとしています。


全体的に民主党の政策を読んでみて思ったのは、EU諸国の政策などを相当研究して、それを国内事情にあった形で応用しようとしているという感想を持ちました。これ以外にも数多くの注目点があり、紹介したのは一部に過ぎません。

最後に、民主党の基本的な考え方を紹介します。1998年に民主党が結党されたときの文章で、民主党のDNAとも言えるものです。

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