goo blog サービス終了のお知らせ 

nishimino

にしみの鉄道情報局付属ブログ

蝉の羽

2010-06-07 | 書評
今回は高里椎奈の薬屋探偵妖綺談の第10作目、蝉の羽です。
ダム建設が中止になって、無人になった村に新たに入った人々の間で起きる事件、そこに薬屋のメンバーが乗り込んでいくストーリーです。

依頼者が実は・・・というのは推理小説の定番ともいえますが、それが怪奇現象と結びついて複雑化したストーリーでした。といっても、若干結末が弱いように感じました。

「楽園は把想像の数だけ存在する」というのがテーマでしたが、もうひとつ孤独というものもテーマでした。その点だけは作者の意図が伝わってきました。

双樹に赤鴉の暗

2010-04-11 | 書評


高里椎奈の「薬屋探偵妖綺談」の9作目、「双樹に赤鴉の暗」です。

宝石店への窃盗事件が発生して、その犯人が自殺するが、真相に疑問を持った刑事が単独で継続調査するというのが話の筋のひとつです。
薬屋の面々が登場しますが、もうひとつの話の筋が並行する感じで、いまいち消化不良の感がある話です。
それでも犯罪の予防というところからは、読み応えのある箇所もありました。

トリトンブルーの787

2010-02-18 | 書評
先日書店を訪れたとき、ボーイング787の特集が組まれたAIRLINE誌3月号を見かけて、思わず購入してしまいました。昨年12月15日に787が初飛行したのは聞いていましたが、その数日後ANA塗装のトリトンブルーの787も初飛行したようです。

探してみたら初飛行の様子が有りました。
</object>


787は見かけこそ、767の細部が違うぐらいですが、中身は画期的な変化があるようです。機体には炭素繊維を中心とした複合材が使われ、その割合は50%に達します。エンジンや足回りなど特別の強度が必要な箇所、高温耐熱が必要な箇所などのみが金属となっています。重量比で50%なので、実質的には主翼や胴体などのほとんどが複合材といえます。複合材が採用されたメリットとして、機体の腐食の心配が無くなったことから、機内の加湿システムが採用されています。
航空機のジェットエンジンは圧縮空気の供給源となっていて、ここから室内の余圧や、主翼の凍結防止の高温エアが供給される仕組みになっています。787ではこれを電動のコンプレッサや、電気ヒーターにすることによってエンジンの出力を100%推力として利用できるようになっています。

現在の旅客機は、かなりフライ・バイ・ワイヤが進んでいますが、実働部の多くの箇所は油圧駆動で残っています。これを電動アクチュエーター化することも787では積極的に行われており、これも機体の軽量化に効果を上げています。
これらのことから燃費は約20%向上し、整備費用の削減にもつながります。
AIRLINE誌によると、今年中には787がローンチカスタマーである全日空に引き渡されるようでです。

http://www.ana.co.jp/promotion/b787/

首都高を行く

2010-01-09 | 書評

日本の都市高速道路の中でも首都高速道路は、特に制約の多い状態で建設されていますが、その建設の歴史や施工方法などをわかりやすく紹介しています。

東京という世界的に見てもかなりの過密都市に、高速道路を新たに造るだけの用地はあまり無く、それを克服するために、高架トンネルや川の底に道路を造った区間などの建設方法の紹介がされています。

首都高環状線の築地付近は、築地川の川の水を抜いて、川の底に高速道路を建設し、川に掛かっていた橋はそのまま高速道路上の橋として利用されています。
プロジェクトXでも取り上げられた羽田線の羽田トンネルは本格的な初の沈埋トンネルで、これが工期短縮の切り札として使われています。

この本はこのようなウルトラC級の技術を使って建設された首都高の歴史などが、一冊にまとめられています。

ゼロの焦点

2009-12-22 | 書評

ゼロの焦点、映画化されてみてきましたが、舞台となる昭和32年が驚くほどよく再現されていました。
原作の方は読みましたが、半分以上内容を忘れていたので、その読み返してみました。映画はおおむね原作に沿って描かれていますが、オリジナルの部分も見られます。

 


ストーリーは主人公の禎子は広告代理店に勤める鵜原憲一と見合い結婚した。憲一は新婚旅行後、仕事の引き継ぎのため金沢へ旅立つが、予定を過ぎても帰京せず、行方不明になる。禎子は金沢へ向かい、そこで憲一の後任の本多や主要な取引先の室田耐火煉瓦の室田社長夫妻から、金沢での話を聞いて調査を始め、隠された夫の過去を知ります。
1991年の火曜サスペンス劇場放映の放送を見た記憶があるのですが、確かこのときは真野あずさが主演して舞台も現代でした。1992年8月4日、松本氏が亡くなられたその日に、急遽再放送されたのを記憶しています。

それで映画のキャストは主人公禎子は広末涼子が、鵜原憲一が西島秀俊、耐火煉瓦会社の社長の室田儀作が鹿賀丈史、その妻の佐知子が中谷美紀となっています。
その耐火煉瓦会社の受付には、田沼久子という女性がおり、これがキーポイントになるのですが、演じたのが木村多江で、こういう薄幸な役ははまり役としか思えません。

映画の方ですが、昭和32年が舞台と言うこともあり、相当考証されて撮影されています。金沢の町並みは韓国で撮影されたらしいのですが、それ以外は日本で撮影されています。旅館から出るシーンは飛騨古川で撮影されていますが、このシーン、わざわざ乗鞍スカイラインから除雪した雪を持ってきて撮影しています。そのため雪の質感が妙に有りました。この飛騨古川の旅館、八ツ三館では旅館のシーンの多くが撮影されたようです。
この古川や能登のシーン以外では、食塩や貝殻を砕いて粉にしたものが使われているようです。
耐火煉瓦会社の工場は妙にリアルだったのですが、調べてみると岡山県の三石耐火煉瓦で撮影されたようです。

大井川鐵道の全面協力で当時の上野駅や金沢駅などが撮影されましたが、どうもあちこち違和感があります。というのも金沢行き列車が上野駅から蒸気機関車(C11)のけん引なのですが、高崎線の電化は昭和27年(上越線の全線電化はさらに早く昭和22年)なので、当時すでに上野から高崎もしくは長岡までは電気機関車(おそらくEF56・EF57・EF58のどれか)がけん引していたはずです。それ以前にローカル線用のC11が重量級の本線急行列車をけん引するのはかなり無理があるのですが。本来ならC51もしくはC57のけん引だと思われます。北陸や白山というなじみ深い列車名も登場しましたが、これらは当時から運転されています。
あと、北陸本線の親不知の旧線か信越本線の青海川あたりの海岸線をイメージして列車が走るシーンもあるのですが、これも同じくC11がけん引しています。これはいろいろ調べたのですが、どうも函館本線銭函あたりの映像が組み合わされているようです。このシーンは公式サイトから見られる特報3でも見られます。

もう一つ、北陸鉄道鶴来駅のシーンも大井川鐵道で撮影されていますが、元近鉄南大阪線の特急車16000系が登場しています。