ADD?先生の発達障害児 教育応援サイト

ADD?傾向のある塾教師がADHDやアスペルガー症候群の子にどうかかわり教えたらいいのか模索していくブログです。

全体より細部に注目してしまうということ

2009-02-28 17:19:23 | アスペルガー症候群
今日はアスペルガー症候群の特徴を持った5歳の☆くんの
レッスンの日でした。
☆くんはとても知能の高い男の子です。
現在、小学校受験問題を学習中ですが、
思考や推理を扱う複雑な問題も、難なく解けます。
また、今日は、☆くんから見ると左にあるものが、
向かいあった相手から見ると、どう見えるのかという問題で「右!」と即答。
☆くんの左横の人から見ると、どう見えるかでは、「前!」と即答していました。
☆くんはものの見え方については
簡単に他人の立場に立てるのに、
相手の心を推測するのはさっぱりわからない…ということが
多いのです。
絵本に描いてある絵の涙の理由をきいても「わからない」と答えます。

☆くんのお母さんは、☆くんがコミュニケーションを学ぶために、
週1回お友達を自宅に招いて
いっしょに遊ぶ会を開いているそうです。
それは☆くんにとっての何よりの学習になっているようです。
数ヶ月前までの、激しかったこだわりは影をひそめ
ミスをしても爆発しない柔軟な態度が身に付いてきました。

いっしょに遊ぶ会で、☆くんのお友達が、
初対面の☆くんの祖母から名前を呼ばれて、「どうして私の名前を知っているの?」と
たずねたそうです。
☆くんのお母さんは、そのとき、ハッと☆くんとの心のあり方のちがいを
感じたそうです。
お友達は、はじめて会う人が自分の名前を知っていたことにびっくりしています。
しかし☆くんの場合、世界中の人が自分を知っているという前提で
世界をとらえていて、逆に知らない人に「お名前は?」とたずねられたら、
「どうしてぼくの名前を知らないの?」
と聞きかえすのです。

今日のレッスンで☆くんにストーリー性のある絵カードの
並べ替えをしてもらったところ、
「う~ん、そこを見るか~」とうなってしまうシーンがありました。

女の子が赤ちゃんから~成人して結婚するまでの成長を
描いた4枚のイラスト。
☆くんは、最初に、赤ちゃんの絵を、
窓の外が夜だからという理由で、最後にもっていきました。
他の絵柄も、窓の外の風景だけで、選んでいきます。
細部にとらわれて、テーマや大きな時の流れが読み取れないのです。

☆くんは知的な面で本当に賢い子で、
法則化できる数学のようなものは、
教えていないことも次々ひらめいて解けるようになるのです。
しかし、小学校受験の塾でもテストの最中に
テストの折れ目に気をとられて続きをするのを忘れるなど
細部にとらわれると、そこから抜け出せなくなってしまうようなのです。

全体を見ること、細部にとらわれた状態からできるだけ早く抜け出すこと、
それらは☆くんには難しい課題です。
それでも毎月会うたびに成長していく☆くんを見ると、
その潜在能力の高さと、
守られた少ない人数で、
遊びを繰り返すなかで成長するものの大きさに驚いています。



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