ADD?先生の発達障害児 教育応援サイト

ADD?傾向のある塾教師がADHDやアスペルガー症候群の子にどうかかわり教えたらいいのか模索していくブログです。

自閉症スペクトラムの子のための工作 と直感の話 1

2009-08-02 07:18:35 | 自閉症
先日、☆ごゆっくりさんというブログの新1年生のトムくんが、虹色教室に遊びに来てくれました。
6才の誕生日を迎える頃、だんだん言葉が出始めたというトムくん。
感覚を刺激する遊びと歌や楽器以外には無関心な様子です。
それだけにトムくんが関心をしるす感覚的な刺激と
音楽はとても大切にしていかなければならないことだと感じました。

トムくんはまだ目的を持って遊ぶという段階にいたっていません。
これまでどろんこ遊びや水遊びなどを通して
感覚を刺激する遊びはたっぷりすぎるほどしてきたというお話でしたので、
そうしたトムくんが慣れ親しんできて心地よさを感じるものに最も近いものを
通して、トムくんが今の段階から一歩、次の段階へ踏み出す手伝いができたら
いいなと思いました。

そこで、トムくんと楽器作りの工作をすることにしました。
トムくんはとにかく音や音程に敏感で、それを強く求める子です。

作る気持ちいい音の刺激

をできるだけトムくんでも参加できる易しいものにして、

気持ちいい音の刺激を得るために、作るという行為をやってみる

という「目的を持って何かをする」という段階の行動を
うながすことができないかと思ったのです。

トムくんは、作る過程では、その意味を感じている様子はありませんでしたが、できた楽器にはどれにも強い関心をしるしました。
振って音をたてるだけでなく
自分でも楽器にボールを入れてみたりして(目的をどれほど持っているかはわかりませんが)積極的にかかわっていました。

自閉症の治療にはさまざまな有効な方法があるはずです。
専門家の意見を参考にしたり、これまで常識とされることをきちんと把握しておくことも大事だと思います。
でも、できるだけ知識という武装を手放して
素のままに自閉症の子とかかわることもとても大事だと思えるのです。

トムくんは、数年前に聞いた歌を歌って見せたり、絶対音感による曲の再現をしたりすることができました。
こうしたトムくんの姿を見て、
もしトムくんが私の子だったらどうするかな?と考えたとき
まずさまざまなクラシック音楽や美しい楽器の音色をいっしょに聴くことで、
音楽を通して言葉のないところで、
トムくんと自分で対等な会話をしていくだろうな……と
思いました。
音楽という分野でトムくんはたちまち先輩となっていくのかもしれませんが……。
また音楽への感性が優れているわけですから、
数学的なものが開花する可能性を大事にして
ドッツカードなどを通した数によるコミュニケーションを試みるでしょう。

そうしたことは、自閉症児への対応
とは違います。
障害はいったん脇に置いておいて
ひとりの才能ある子との、コミュニケーションできる接点を探す
試みです。
トムくんの笑顔と満足そうな落ち着いた様子で
うまくいっているかをはかります。

この日、トムくんは、私のひざに乗って身体をもたせかかり、
かけざんの九九を歌いながら指で表現する私の真似を
うれしそうにしていました。指も真似し、九九も覚えて歌っていました。はじめて九九に触れるのに……
トムくんの音楽への感性は数学につながるかもしれない……という私の勘は間違っていないのかもしれません。

勘……というと、私は以前から何度か書いていますが
ユング心理学で言う性格タイプが内向直感型です。
それで、何をするにも、一番頼りになるのが、一般的には頼りないいい加減なものと思われている直感です。
この直感、自分でコントロール出来るものでなく
「自ずから~」の部分、あちらから勝手に浮かんでくる部分が大きいです。
この直感がどんなものか……というと説明しがたいのですが、
私の場合、表面的な意識が判断した決断の間違いを正したり、修正させたりする
役割をになっていることが多いです。
また私にこれから起こる出来事の重要さを事前に自覚させることもよくあります。

今回、トムくんが虹色教室に来るにあたって、
1年に一回くらいしか感じない強い直感的なものを何度も感じました。
最初は、トムくんのお母さんから妹を連れて行くべきかどうか悩んでいる
という相談を受けたときに、私は軽い気持ちで
「その日は時間に余裕があるので、妹さんを連れてきていただいても大丈夫だと思いますよ。トムくん中心の遊びを展開するように心がけておきます」とお返事したのですが、その日の就寝後、夜中の2時ごろから、外から流れてくる奇妙な音にずっと悩まされ、トムくんの名前が漢字の状態で何度も頭に浮かんでくるのです。
それで、翌日、自分の直感に従って「トムくんひとりだけでのレッスンにした方がいいように思います」と連絡させていただきました。
トムくんのレッスンが終わった翌日の朝方、
目覚める直前のぼんやりした意識の中で、
トムくんと過していた時間の録画ビデオを再生するような夢ともいえないような夢をみて、
ひとつひとつのシーンを確認していく作業をしていました。
トムくんは、何らか私とつながりがある子なのか……波長が重なるところがあるのか……単なる偶然なのか……?
無意識の部分で気にかけているから
こういうことが起こってくるのか、くわしいことはわかりません。
私は、そうした体験をしたときは、いつも意識で理由をつけようとする心を
消して、水面を眺めるように自分の心を覗き込むようにしています。
理由は考えません。ただいろんな思いを手放して
静かにしています。

すると勝手に理由が言葉として浮かんできます。子どものころからそうなんですが……。
それを全面的に信じるのではないけれど、
直感が伝えることとして、真摯に受け取って心に留めて、
現実の自分の価値判断や、行動の参考にしています。

私の直感との付き合いはこんな感じです。匂いで識別したり、気持ちで識別したりするのと同じように、直感は私にいろいろ気づかせてくれる不思議な
感覚です。

写真は
わごむをかけるだけでできるギター
ボタンを入れて、ふたをしめてマラカス
テープにすずをつけて、すず
パックにビー球を入れて、マラカス
風船とガムテープの芯で作るたいこです。



web拍手を送る




最新の画像もっと見る

1 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
お世話になりました (yoshiko)
2009-08-02 20:23:07
先日はどうもありがとうございました。

なおみ先生から直接お電話をいただいて驚いたのですが、そのような経緯があったとは、改めて不思議なご縁を感じます。トムのことを強く心にとめていただき、とても嬉しいです。

今回、私の心の中にあった、トムのある種の才能に対するもやもやを後押ししてくださったのが、とても嬉しかったです。発達障害を持つ子の親は、期待してはがっかりし…を繰り返しているので、障害を離れて子どもの良い面を正しく評価するのに臆病になっています。そして、その成功体験の少なさゆえに、親の頑張り時がわからなくなっていることが多いと思います。
そんなとき、なおみ先生のような方に客観的に子どもを見ていただくことで、どんなに救われることか。

私のサイトから、こちらへのリンクを貼らしていただきました。なお、私の方で載せている写真のうち、なおみ先生に必要なものがございましたら、ご自由にダウンロードしてください。

さいごに、「数学的なものが開花する可能性を大事にしてドッツカードなどを通した数によるコミュニケーションを試みるでしょう」とありますが、いつか、もう少し詳しく教えていただけると嬉しいです。
返信する