ニガイメ記

文章が苦手なので、イメージ写真でお茶をにごす日記
・・・の略。

彩と翳

2007年05月15日 | T-PROOF

矢崎彦太郎&東京シティ・フィルの「フランス音楽の彩と翳」シリーズ。東京オペラシティにて。
今回でVol.14。毎回凝ったプログラム内容(珍しい曲を取り上げることも多い)で楽しませてくれる、この好企画シリーズが継続されているというのは嬉しい。独立したシリーズとしての年4回→定期公演に組み込まれての年1回、と位置づけは低下してしまったが。

本日は「――そして、地には平安」と題されたプログラム。
イベール:祝典序曲 / オネゲル:交響曲第2番 / プーランク:グローリア

「祝典序曲」は皇紀2600年の祝典のため、時の日本政府の依頼に応じて書かれた曲。私は佐渡裕&ラムルー管のCDでしか聞いたことがなかったのでエラそうなことは言えないのだが、「ディヴェルティスマン」や「寄港地」といったイベールの他の名曲と比べると、いまひとつこの作曲家ならではの特徴が薄いような気も。コンサートの冒頭を飾る、雰囲気盛り上げ役の曲としては効果的ではある。実際、鳴りっぷりの良い、力演だった。ちょっと響きが厚ぼったいかな、とも感じたが。
オネゲルは予想外に良かった。まず、かなり細かいニュアンスまで整然と表現しえた弦楽の美しさ。シティフィルの弦、またレベル上がったかも。そしてこの曲は最後の数分間のトランペット独奏が決まるかどうかが最大のポイントだろうが、ステージ背後の2階席下手寄りから、輝かしく、全く瑕疵なく、吹き切った奏者に拍手を! 

「グローリア」が本日のお目当て(プーランクの宗教曲は「スターバト・マーテル」にしろ「黒い聖母への連祷」にしろ、聞けば素直にああ美しいなぁと感じてしまう。生で聞けるとはありがたいことよ)。
聴きどころ豊富な曲だが、個人的に妙に好きなのが“Laudamus te~”の浮き浮きした足どりを思わせる、ノンシャランな楽想。そういう部分もあって、しかし最後のアーメンの祈りは強く、深い。
合唱(東京シティ・フィル・コーア)、ソプラノ独唱(半田美和子)ともに上出来で、安心して楽しめた。この合唱団、このところレベルアップしてきたように思うぞ。
今日は全般的に矢崎氏の表現したいことがよくオケに伝わっていたと思う。

1回1000円の格安券を数回分購入済みにつき、今期もシティフィルの定期演奏会には何度も行くことになるでしょう(笑)。


camera: Kyocera T-PROOF  film: Polaroid HighDefinition plus400