芸術祭十月大歌舞伎。10月の興行に「芸術祭」と冠するのは毎年の慣例、何か特別な試みをするわけでもなく。お馴染みの名作が並んだ。
夜の部を観る。
『本朝廿四孝』「十種香/狐火」玉三郎 菊之助 福助 團蔵 松緑 権十郎
『雪暮夜入谷畦道』菊五郎 菊之助 團蔵 田之助
『英執着獅子』福助
以下、雑感を。
勝頼、三千歳、と2つの大役をともに初役で勤める菊之助に清新な魅力。三千歳は清純すぎる感じだが若さゆえ仕方あるまい、しかし気持ちは伝わってきてなかなか結構。
「十種香」は20年ぶりとなる玉三郎の八重垣姫、福助の濡衣、ともにセリフも身のこなしも巧く完成度は高いのだが、滑らかにさらりと進行していく感触。何かこう、見る者をグッと惹きつけるものに乏しかったというか・・・。
「雪暮夜入谷畦道」、ふだんはあまり面白いと思わない演目なのだが、今回は世話物の味わい濃厚、その世界に快く入っていけた。菊五郎の繊細にして厚みのある人物造型、田之助、権一、菊十郎等、手練れの揃った脇役陣の面白さ。
camera: Minolta TC-1 film: Fuji REALA ACE100