今宵は室内楽。紀尾井ホールにて、ミケランジェロ弦楽四重奏団。
初めて聴く団体だが、これは良いかも!との直感あって、足を運ぶ。
プログラムがまた、わたくし的には食指の動く、絶妙なもの。
ハイドン:弦楽四重奏曲第81番ト長調 Op.77-1
バルトーク:弦楽四重奏曲第1番 Op.7,Sz.40
シューベルト:弦楽四重奏曲第14番ニ短調 D.810 「死と乙女」
(アンコール)スメタナ:弦楽四重奏曲第1番「わが生涯より」~第3楽章
男女各2名の構成、ルーマニア人やスウェーデン人もいる多国籍チーム。
すでに自分の仕事を確立したベテランアーチストたち。腕前は皆、超一流。ヴィオラは今井信子だし。
まずハイドンは、響きの美しさを求めた穏当な解釈。と思ってたら第2楽章で、ロマン的な、夢見るような、天上的ともいえるムードが立ち現れて、はっとした。
バルトークは、冒頭のフーガから忽ち引締った空気が立ちのぼり、ひたひたと持続していく。実際の音のほかに、その曲特有の空気感が醸し出されるのが一流の演奏というもの。そして、ここぞというときの鮮烈な響き。実に心地よい。好きな曲を佳き演奏で聴ける嬉しさ。
「死と乙女」は、バルトークで見せたような尖鋭さから儚いほどの耽美的な響きまで、曲想に応じた多彩な表現が見事。やり過ぎて凸凹になるようなことはなく、矩を踰えず破綻せず、間然とするところ皆無の名演。
アンコールのスメタナ、これはもう、「泣かせる節まわし」を、しかもとびきりの美音で聞かせていただきまして、しみじみいたしました・・・。
みなさんプロフェッショナルですな。
大人の愉しみとしての室内楽、をオトナな客層(このホールは普段からわりとそう)の中で、十分に満喫。
camera: Nikon AF600QD (Nikon mini) film: Konica CENTURIA PORTRAIT400