海老蔵&玉三郎で話題の歌舞伎座、昼の部は「千本桜」の「鳥居前」「吉野山」「四の切」、いわゆる<忠信篇>だ。
ではさっそく、手抜き感想文を。
海老蔵の忠信は、「吉野山」は良し。神妙で、愛らしさもあり、その場の状況を、心を、的確に伝える。今回は清元使わず竹本のみで、筋の展開も振りも普段見慣れたものとは違うやり方だったが、旅の一齣をさらりと見せたような素朴な味もあって、なかなか結構。
「四の切」は宙乗り付きの、ケレンたっぷりの猿之助の型を海老蔵が演るというのが興行的な呼び物。しかし、これは良くなかった。思うに猿之助の作り上げた型は海老蔵には合わないのでは。やたらバタバタしているだけで何も伝わってこなかった。狐言葉も奇妙なところがあり、たびたび場内の失笑を買った。飛んだり跳ねたりの前に、まずは義太夫狂言としてのイキを会得してほしいなぁ。
玉三郎の静は、「吉野山」も「四の切」も、さすが隙のない完成品、お見事。
今月は歌舞伎座と国立劇場とで「四の切」競演だったが(型は違うが)、国立の歌昇の方が断然良かった。今思いだしても胸が熱くなる。
camera: Pentax MZ-M + M50mmF1.7 film: Fuji REALA ACE100