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2014年12月18日

2014-12-22 22:41:31 | 免疫

免疫応答における内因性レトロウイルスの新しく有益な機能を特定する
Scientists identify new, beneficial function of endogenous retroviruses in immune response



レトロウイルスは、AIDSのような伝染性疾患や散発的ながんを引き起こすことが知られている。しかしテキサス大学サウスウエスタン・メディカル・センターの研究者とスウェーデンのカロリンスカ研究所の新しい研究によれば、内因性レトロウイルス(endogenous retroviruses; ERV)は一般的な細菌およびウイルス病原体に対する免疫においても重要な役割を果たす。

「ほとんどの科学者はレトロウイルスが概して有害であるという見方に慣れている」、2011年のノーベル賞受賞者、Bruce Beutler博士は言う。彼はテキサス大学サウスウエスタン宿主防御遺伝学センターのディレクターでもある。

「しかしERVは、少なくとも防御抗体の産生にとって重要な機能を果たすことが明らかになった。」



レトロウイルスは生殖細胞を含めた感染細胞のゲノムDNAの中に入りこむことができる。そうしたDNAへの挿入やレトロトランスポジションと呼ばれるプロセスにより、レトロウイルスはヒトのゲノムの大半を占めるようになった。人間のDNAの約45パーセントはレトロウイルスが起源であり、良く保存されたコピーのいくつかは「内因性レトロウイルス」(ERV)と名づけられている。

B細胞は細菌の多糖類のような大きい重合体抗原によって活性化されるとT非依存性タイプ2抗体産生応答(T-independent antibody response Type II; TI-2)により素早く防御抗体を生じるが、この応答はERVに依存的であることを研究者は発見した。

活性化したB細胞内ではERVのRNAコピーの発現は促進され、RNAは次に逆転写酵素という酵素によってDNAに複製される。ERVのRNAコピーはRIG-Iによって検出され、DNAコピーはcGASによって検出される。これらの2つのタンパク質はB細胞にシグナルを伝えて、活性化状態を維持して増殖し、抗体を産生し続けることを可能にする。

宿主防御遺伝学センターの分子生物学教授でハワード・ヒューズ医学研究所の研究員でもあるZhijian "James" Chen博士は、今回の研究で重要な2つのタンパク質、MAVSとcGASを発見した。

「これらの発見は、RNAとDNAを感知する経路が、ERVの検出ならびに適応免疫応答の活性化において重要な役割を果たすことを示唆する」、Chen博士は言う。

RIG-IまたはcGAS経路の要素を欠くマウスは、T細胞非依存性抗原タイプIIに対する応答の減少を示す。この2つの経路がどちらもないマウスは、抗体産生応答をほとんど全く示さない。さらに、逆転写酵素阻害剤もT非依存性タイプII抗体産生応答を部分的に阻害する。

宿主防御遺伝学センターのポストドクター研究者であり研究の筆頭著者でもあるMing Zeng博士は、通常は細胞質でレトロウイルスのDNAコピーを分解させるTREX1という酵素の突然変異が自己免疫疾患を引き起こすことを強調する。

「しかし、このB細胞を活性化するERV DNAの能力は生理的なようである: この種のT非依存性抗体産生応答は(常に)起こっているはずである。」




「いったんレトロウイルスが宿主の生殖細胞系の一部になると、ゲノムのあらゆる部分がそうであるようにそれが有益であるかどうかの「選択」を受ける。そして、自然免疫応答を活性化するウイルスの能力は宿主に利用されたようだ」、カロリンスカ研究所で微生物学・腫瘍・細胞生物学の教授であるGunilla Karlsson Hedestam博士は言う。

Beutler博士は、これが「良い」目的のために使われるERVの独立したケースであると証明されるかは疑問に思っている。そして実際には、そのすべてが良いとは限らない。

「おそらく、B細胞のERVの『生理的な』活性化は、炎症とがんの新しい関連を示す可能性がある。」

重要な受容体ファミリーを発見することにより2011年のノーベル医学・生理学賞を受賞したBeutler博士は言う。

学術誌参照:
1.T非依存性B細胞応答におけるMAVS、cGASと内因性レトロウイルス。

Science、2014;

http://www.sciencedaily.com/releases/2014/12/141218141057.htm

<コメント>
内因性レトロウイルス(ERV)はT非依存性抗原(TI-2)によるB細胞の免疫応答を増幅するために必要であるという記事です。

Abstractによれば、まずT非依存性抗原により刺激されて活性化したB細胞ではERVのRNAコピーが上方調節されます。そのRNAはRIG-Iまたはその下流のMAVS(mitochondrial antiviral signaling protein)によって検知され、次にRNAからDNAに逆転写されるとcGAS-cGAMP-STING経路によって検知されます。それによりB細胞はさらに活性化して増殖し、IgMの産生が増加します。つまり、ERVは生理的な機能の一部として組み込まれていることになります。

SLE患者のCD4陽性Tリンパ球、CD8陽性Tリンパ球、そしてBリンパ球では、ヒト内在性レトロウイルス(HERV)の中でも長い散在性反復配列 (LINE) のL1のメチル化のレベルが低下していることが報告され、自己免疫疾患の発症に寄与する可能性が知られています。


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