腫瘍細胞を同じ場所に保つこと:
癌細胞が移動するために使うスイッチが発見される
フライブルグ大学の研究者は、結腸直腸癌の細胞が原発性の腫瘍部位から離れて、隣接組織に侵入するために使用するスイッチを発見した。
この移動は、転移における最初のステップである。
健康な腸細胞の表面上のタンパク質(エフリン受容体)は、分泌細胞または幹細胞のような特異的な細胞タイプに、組織の中でどの位置を占有するかを指示する。
隣接した細胞との接触を通して受容体が活性化されると、この作用は遂行される。
エフリン受容体は、近所の細胞について通知する。細胞がとどまるか、移動するかは、近所がその細胞に適しているかどうか次第である。
癌細胞において、エフリン受容体は、細胞が誤った状態に行くのを防止するためのシグナル経路を制御する。
原発性の腫瘍の塊から自由になるため、腫瘍細胞は受容体(特にEPHB2とEPHB3)の産生をシャットダウンした。
研究者は、細胞上のEPHB2とEPHB3の量を調整する遺伝子のDNA領域を発見した。
DNA領域、いわゆるエンハンサーは、転移する腸の腫瘍細胞でスイッチを切られる。
この原因の1つは、腫瘍細胞の調節性のネットワークでのエラーであり、それにはタンパク質Notchが関係している。
研究者は、Notchシグナル伝達経路が腫瘍で不活性化されると、予後不良になることも示した。
学術誌参照:
1.ヒトの結腸直腸癌での、転写エンハンサーを廃棄することによるEPHB3癌抑制遺伝子のサイレンシング。
PNAS(2014);
http://www.sciencedaily.com/releases/2014/03/140321112144.htm
<コメント>
Notchの不活化がEPHP3という癌抑制遺伝子をサイレンシングして、細胞が正しい位置にあることを知らせる機能が低下することから転移が始まる、という研究です。