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2014年10月21日

2014-10-28 23:28:29 | 医学

関節リウマチに関与する新しいシグナル経路の特定
Rheumatoid arthritis: Researchers identify new signaling pathway thought to play role



関節リウマチ(RA)は全身性の炎症を伴う自己免疫疾患であり、関節内の骨の侵食はRA患者における障害の主な原因である。

Hospital for Special Surgery(HSS)の関節炎・組織変性プログラムを担当するBaohongチャオ博士たちは全く新しいシグナル経路を発見し、RAの骨破壊に関与する可能性がある根本的なメカニズムを解明した。



近年、RA発症に関連する遺伝子を特定するためにGWASが実施され、RBP-Jという遺伝子のバリアントがRAの発症と関連することが判明した。しかし、その役割は未知のままだった。

「RA患者は健康な人と比較して、このリスク遺伝子の発現レベルがかなり低いことが明らかになった」、チャオ博士は説明する。

また、彼らはRBP-Jタンパク質が新しく特定されたシグナル経路により過剰な骨侵食を制御するメカニズムを解明した。

「我々は今回の結果にきわめて興奮している。なぜなら、この新しく特定されたRBP-Jにより制御されるシグナル経路が、RAの予防と治療のための新たな標的を提供するからである。これは基礎研究と臨床治療の両方に新しい道を開く」、チャオ博士は言う。



科学者たちはネクスト・ジェネレーション・トランスクリプトーム塩基配列決定という強力な技術を使用した。それは何千というヒトの遺伝子それぞれの発現レベルに関する情報を提供することが可能である。

「この技術は今回の新しいシグナル経路の重要な構成要素の解明につながった」、チャオ博士は言った。

学術誌参照:
1.RBP-Jは、破骨細胞形成のITAMによって媒介される共刺激に関して条件を課す。

JCI、2014;

http://www.sciencedaily.com/releases/2014/10/141021101616.htm

<コメント>
破骨細胞の形成(osteoclastogenesis)を調節するRBP-Jというタンパク質の発現が関節リウマチでは減少しているため、破骨細胞が増大して関節の破壊が促進されるという記事です。

本文によれば、破骨細胞の分化にはRANKシグナルに加えて、共刺激として主にDAP12やFcRγ受容体に伴うITAMシグナルが必要です。このITAMシグナルの必要性は、RBP-Jが適切に発現しているおかげである、というのが今回の研究の内容です。

逆に言うと、RBP-Jが発現していなければITAMシグナルという共刺激がなくてもTFN-αにより破骨細胞に分化しやすくなり、実際、関節リウマチ患者ではRBP-Jの発現が低下しています。

具体的には、RBP-JはTGF-βR1の発現を抑制しています。TGF-βR1の刺激はカルシウムシグナルにつながり、ITAMシグナルもPLCγ2を介してカルシウムシグナルにつながるため、TGF-βとITAMはお互いに破骨細胞の分化を促進します。RBP-JがTGF-βシグナルを抑制している(そしてRANKLシグナル後にはRBP-Jは低下してTGF-βシグナルを維持する)ので、破骨細胞は適切に分化することができます。
(RBP-J restrains expression of TGF-βR1 and thereby modulates cell responsiveness to TGF-β, which in turn regulates expression of PLCγ2 at the transcription level through binding of Smad2/3 to its upstream regulatory region.
Our results provide direct evidence that Plcg2(PLCγ2) is a target of SMAD2/3.)

他にも、例えばNotchシグナルは破骨細胞の形成に影響しますが、NotchもTGF-βシグナルとクロストークします。RBP-Jは、Notch、Wnt/βカテニン、NF-κB、TLR、TNFシグナル等の様々な要素の入力を受けて破骨細胞の形成を調節し、関節リウマチの発症と進行に影響を及ぼしているようです。

関節リウマチとTLRとTNFに関しては以前にも記事がありました。

http://blog.goo.ne.jp/news-t/e/8f334bb9fe856f6e1d461bc9fe30ec2f
>TLR5受容体はTNF-αという強力な炎症性分子を上方制御することが発見された。TNF-αはさらにより多くの骨髄性細胞を関節にリクルートして、そこで骨髄性細胞は破骨細胞(osteoclast)に変わる。

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